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Catch-up 酒気帯び確認、白ナンバーも

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 4月1日から、5台以上の自動車を業務で使用する事業場では、運転前後に安全運転管理者によるドライバーの酒気帯び確認が義務化される。4〜9月は目視のみだが、10月1日からはこれに加えてアルコール検知器の使用が必須。これまで、タクシーやバス、運送トラックといった「緑ナンバー」に限定されていた措置が、建設業にもよく見られる自社用トラックや営業車などの「白ナンバー」にも拡大された形だ。
 対象となるのは、安全運転管理者の選任義務がある▽乗車定員が11人以上の白ナンバー車を1台以上▽その他の白ナンバー車5台以上(バイクは0・5台とカウント)―を使用している事業所。酒気帯び確認やその結果の記録は安全運転管理者が担う。未選任の事業所も少なくないといい、警察庁は今回の制度改正を契機としてこうした事業所の一掃にも取り組む。
 建設業者をはじめ、新たに対象となった事業者からは戸惑いの声も聞かれる。交通事故対策機構が建設業向けに2月に開いた交通安全に関する説明会では「業務特性上、リアルタイムでの対面対応は現実的に厳しい」「アルコールチェックの効率的で現実的な運用方法に関心がある」といった意見が寄せられた。
 こうした現状を踏まえ、一定程度、柔軟な対応も認められている。例えばドライバーが遠方にいて対面での確認が困難な場合は、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させ、測定結果を報告させることも可能だ。また、安全運転管理者が休暇や出張で不在のときは、副安全運転管理者や安全運転管理者の補助者が確認してもいい。
 今回の制度改正と建設業は無縁ではない。発端となったのは、千葉県八街市で2021年6月に発生した交通死亡事故だ。下校途中の小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、児童5人が死傷。ドライバーは建設資材を運ぶ業務に従事していた。
 そもそも建設業では交通事故による死者数が多く、20年には陸上貨物を上回る37人が命を落とした。労働災害につながるだけでなく、周囲を死傷する恐れもある交通事故は、業務で自動車を使用する全ての事業者にとって大きな経営リスクと言える。
 それにもまして、飲酒運転は交通死亡事故の発生リスクを約7・9倍に高める。酒気帯び確認の徹底は、悲惨な交通事故を二度と繰り返さないようにするための重要な一歩だ。