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(2019/5/31)

 

【高知県】新しい技術と発想で変わりゆく時代に挑戦
〜山本三四年 高知市上下水道事業管理者に聞く〜

 

 2018年10月、高知市上下水道事業管理者に山本三四年氏が就任した。上下水道局は節水意識の向上などで料金収入が減少する一方、老朽化や災害対策に向けたインフラ整備も求められている。そのためにも「新しい技術と発想を大事にし、変わりゆく時代に挑戦する組織を目指す」と意欲を見せる山本上下水道事業管理者に今後の取り組みや建設会社・水道会社に期待することなどを聞いた。

 

山本三四年

−昨年10月に上下水道事業管理者となられてからの振り返りと今後の抱負をお願いします。
高知市の水道事業は1925年に全国56番目、四国では高松市に次ぎ2番目に通水を開始した。下水道事業は、戦災復興事業の中で1948年に着手している。戦災復興や高度成長期の市勢発展に伴い「拡張整備の時代」を経過してきたが、人口減少や節水器具の普及による生活形態の変化による水需要の減少、高度成長期に整備した施設の老朽化が増加しており、南海トラフ地震や豪雨の対策など多くの課題が山積している。上下水道は市民生活に欠かせない重要なライフラインなので、これまで先輩たちが築いてきた市民との信頼を着実に未来へつないでいきたい。そのために変わりゆく時代への挑戦を続けていくことが重要だと考えている。
そのためには新しい技術や発想が大事。ベテラン職員が減少していく中、若い職員が組織に活力を生み出し、時代の変化に対応することが重要だ。一人ひとりの職員の思いを大切にしながら、人材育成と組織づくりに重点を置き、これまでの管理者が築いてきた上下水道局の礎をさらに発展させ、変わりゆく時代に挑戦する組織を目指したい。


−節水の意識が高まり料金収入が減少していますが局としての対応は。
2017年度に策定した今後10年間の経営戦略では、25年に赤字に転落するというシミュレーションが出ている。02年から変更していない水道料金体系の見直しを近い将来考えており、経営の安定化と市民負担増とのバランスを勘案しながら進めていきたいと考えている。

−水道事業を民間委託できる改正水道法が昨年成立しました。高知市は民間への委託は考えていませんか。
市議会でも何人かの議員から質問をいただいたが、1925年の通水以来、市職員で守ってきた水道事業を民間に委託することは今のところ考えていない。ただ全国的な流れは注視する。

−本年度の当初予算について、予算総額や前年度対比などの概要をお願いします。
19年度の当初予算については、水道事業が122億6140万円で前年度比15億0870万円減、下水道事業が182億3270万円で前年度比5億0910万円減。合計で304億9410万円と前年より約21億円、6%程度減少した。

−本年度の主な事業について教えてください。
水道事業では、針木浄水場の監視制御の一元化を4月1日に開始した。先ほどコンセッションの話もあったが、われわれとしては一元化することで人件費も削減しながら市民の水道は職員の手で守っていく。08年から進めている送水幹線二重化事業は、20年度完成を目指し順調に工事を進めている。92年から進めている耐水性非常用貯水槽の設置は、19年度に河ノ瀬公園に25基目を設置し予定した全ての設置が完了する。また浄水施設、配水池、配水所、水道管路の耐震化については、優先順位を付けながら南海トラフ地震に備えた対策を進める。
下水道事業では、下知水再生センター管理棟の改築を20年度の完成を目指し進めている。近くの保育園児が避難できるよう外付け階段を設け、屋上には防災テントを設置する。浸水対策については14年8月の豪雨で浸水した初月地区で補完ポンプを20年度までに2カ所設置する。総合地震対策事業としては、雨水ポンプ場、中心市街地での幹線管渠の耐震化を進める。

−水道の基幹管路耐震適合率に向けた目標は。
17年度末の基幹管路耐震適合率は、全国平均並みの38%となっているが、経営戦略の中で26年度までに59%まで引き上げる目標を示している。22年度までは南海トラフ地震対策の集中投資期間として口径400_以上の基幹管路の耐震化を積極的に進める方針だ。

−下水管渠の布設については。
18年度末の普及率は62.9%。ここから26年度には普及率約70%を目指しており、初月、久万秦、朝倉、鴨田分区などで集中的に面整備を行う。

−本年度の新規事業は。
高知医療センターの東側の山に合計3000dの配水池を新設する予定で、19年度は造成に着手する。三里地区は針木浄水場から管路を引き給水しているが、孕から仁井田までは海底に管路を通している。海底管は耐震診断の結果、特に影響ないと判定されているが、もし何かがあった場合に備え配水池を設け、災害の医療拠点となる医療センターや地域住民の応急給水拠点として22年度の完成を目指す。

−建設会社や水道会社に期待することなどをひとことお願いします。
人口減少や都市圏への人口流出が大きな問題となっており、全国的にも労働者不足が顕著になっている。一方、日本全体で働き方改革が進められており、建設業界全体で長時間労働の是正、若者や女性が働きやすい職場環境づくりが求められている。
若者が離れていくということは、技術者が育たず、将来的には品質管理や安全確保が難しくなると想定される。今から若手技術者に熟練技術者の技術を継承し、育成していくことが大事だと考える。業界全体の課題として働きやすい職場づくり、人づくりをわれわれも一緒になって進めていきたい。具体的には職員と関係団体との交流の場も設定し、技術的な意見交換などをできればと考えている。

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(2019/5/31)

 

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