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(2019/8/27)

 

【愛媛県】『温か笑顔の東温市』実現へ各施策を展開
〜東温市のまちづくり 加藤章市長に聞く〜

 

 スマートインターチェンジ(スマートIC)設置や新工業団地整備により地域活性化が期待される東温市。災害に強い安全・安心のまちづくり、子育て支援や福祉の充実など「温か笑顔の東温市」実現に向けて各施策を展開する加藤章市長に市政運営の意気込みを聞いた。

 

加藤章市長

―道路整備について見通しをお聞かせください。
事業継続中の松山刑務所前の横河原10号線について拡幅整備と通学路の安全確保のため2019年度中の完成を目指して事業を進めます。また、2023年度末の完成を目標にスマートICの整備を進めていますが、開通時の交通渋滞対策として、国道11号交差点2カ所に右折レーンを整備することとしており、2019年度、調査設計に着手します。

―上下水道については。
ライフラインとして特に重要な上下水道は、近い将来発生が予測される南海トラフ巨大地震などへの備えとして災害に強い施設の構築が急務であるといわれています。上水道は安全な水を安定的に供給するため、1999年度に着手した統合簡易水道事業が17年度に完了し、2018年度末の普及率は約97%となっています。今後は、適切な維持管理を行いつつ施設の長寿命化を図るとともに、次期事業計画の策定に向けた基礎調査として資産管理(アセットマネジメント)を進めてまいります。また、下水道は生活環境の改善と公共用水域の水質改善を図るため、95年度に着手した公共下水道事業を実施中で、昨年度末の汚水処理人口普及率は農業集落排水や合併処理浄化槽を含め約86%となっています。今後は汚水処理について10年間を目標に計画的な整備を進めてまいります。

―公共施設(建築)の整備について。
本格的に少子高齢・人口減少社会が進行する中、誰もが健康で安心して暮らせる社会づくりが必要です。そのため、2020年4月のオープンを目指して、東温市の保健・福祉・子育て業務の拠点となる(仮称)東温市総合保健福祉センター(パース)を建設中です。鉄筋コンクリート造3階建て延べ約3100平方bで保健センターや社会福祉協議会などが入居します。学校施設については、14年度に策定した「学校施設等大規模改修基本計画」に基づき5カ年計画で大規模改修を実施しています。最終年度となる2019年度は重信中学校北校舎大規模改修を実施しており、塗装・防水・外壁などの外部改修、床・壁・天井・建具などの内装改修、照明機器のLED化など電気設備改修、衛生設備など給排水・空調改修を行っています。なお、2020年度以降においては昨年度策定した「学校等施設長寿命化個別計画」に基づき計画的に実施する予定としています。
保育所、幼稚園については、2018年度「保育所改修基本計画」の見直しや「学校施設等長寿命化個別計画」を策定したところで、改修内容や改修時期などについて適宜検討していくとともに、今後の子どもの人数や財政状況、社会情勢や子ども子育て会議の意見を踏まえ、定期的に改修を実施する予定としています。2019年度は、双葉保育所において下水道の供用開始に伴う下水道接続工とテラス改修を、重信幼稚園において床・壁・天井の改修などと照明器具のLED化、ロッカーなど建具の取り替えを行います。また、大阪での地震に伴うブロック塀倒壊事故に関連したブロック塀改修や近年の異常気象に対応した幼稚園遊戯室などへの空調機器設置を進めています。さらに、文化財資料を保管・展示する「見学できる収蔵庫」として、2019年度に歴史民俗資料館別館(仮称)を建設します。主な工事内容は、文化財資料の収蔵庫500平方bの新築、倉庫改修140平方bを予定しています。

―スマートIC、新工業団地の整備についてお聞かせください。
スマートICの整備により、当市や松山都市圏のみならず広域的な整備効果が期待されます。
@当市から松山市東部にかけて約200の物流事業者が集積していることから「松山都市圏の物流活動の活性化」
A市内企業の高速アクセス性の向上や企業誘致による「地域経済活動の発展」
B交通渋滞が著しい松山ICへのアクセスルート(国道33号)の交通量分散による「松山都市圏の渋滞緩和」
C市内に複数立地している中核医療施設への「アクセス性向上による医療活動の支援」
D陸上自衛隊松山駐屯地や愛媛県警察機動隊の迅速な被災地への到着に寄与する「災害発生時の救急活動支援」。
このスマートICについては2018年度に新規事業化され、23年度末の完成を目標に整備を進めていますが、現在NEXCO西日本と連携して調査設計を実施しています。スマートICの隣接地では、東温市土地開発公社が21年度の分譲開始を目標に企業立地の受け皿となる新たな工業団地の整備を進めており、2019年度は企業募集ならびに誘致企業の選考を行うとともに整備工事に着手する予定です。

―大規模災害(地震、河川増水)対応など防災面の取り組みについて。
近年全国各地で異常気象に伴う気象災害が相次いで発生しており、2018年7月の西日本豪雨では県内でも甚大な被害が発生し、現在も復興に向けて住民・行政が一体となって取り組んでいるところです。また、いつ発生するか分からない災害に対して強い安全・安心なまちづくりを進めるためには「災害は必ずやってくる」との認識を持ち、日頃から備えを十分にすることが必要不可欠であると考えています。当市といたしましても、突然に襲い来る災害に対し日頃からできる限りの備えを行っていますが、いざという時には地域の「自助」「共助」の力が大変重要となります。「災害に強い安全・安心のまちづくり」を目指し、地域の皆さまに初期消火活動、被災者の救出・救助、情報の収集や避難所の運営などの重要な役割を担っていただくため、市内35の行政区全てに自主防災組織を完備し、各組織で地域防災活動を推進しているところですが、今後は自主防災組織相互の連携を強化するとともに、行政、地域、関係機関が一体となった防災体制の整備を一層推進してまいります。
また、去る7月1日に防災重点ため池の選定基準や管理の在り方などを見直すため、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」が施行されました。当市には99カ所のため池があり、そのうち防災重点ため池は、旧基準では23カ所であったものに対し、新基準では87カ所が指定されることとなり、ハード・ソフトを組み合わせた対策が喫緊の課題となっています。ため池の改修は、県営事業により6カ所で老朽度・危険度・重要度に応じて順次進められ、当市においては、新たに指定された防災重点ため池の浸水想定区域図を2019年度から2020年度の間に作成することとしており、ため池の被災リスクの低減に努めたいと考えています。

―社会基盤インフラ(橋梁、トンネル)の長寿命化への取組みについて。
市内の橋梁などの既存インフラについては、長寿命化を図るため、従来の事後的な管理から計画的かつ効率的な予防管理へ転換し修繕などに係る経費のコスト縮減を図るとともに、施設の安全性・信頼性の確保を進めてまいります。また、長寿命化修繕計画を策定することにより、従来の事後的な修繕から、計画的かつ効率的な予防修繕へ転換し、修繕などに係る経費のコスト縮減を図ってまいります。橋梁については、2018年度に1巡目の点検が終了し、2019年度、長寿命化修繕計画を策定し、順次、修繕委託設計および工事を実施する予定としています。また、2カ所のトンネルについては、既に長寿命化修繕計画を策定しており、2019年度に修繕委託設計を行い、2020年度より修繕工事を実施する予定としています。

―建設業界でも人手不足が懸念される中、技術者の確保や育成についてお聞かせください。
東北復興や東京オリンピック・パラリンピックの開催などによりゼネコンをはじめとする民間建設業界の勢いも相まって自治体における土木などの技術職の採用試験において採用応募者が採用予定数に満たない事例も出始めていると聞き及んでいます。当市においては、県都に隣接しているという地理的な側面などから、今のところそのような状況には至っていませんが、今後、必要に応じて採用試験方法の見直しなども含めて検討し、よりよい人材の確保に努めたいと考えています。また、行政の技術職員は、地域のインフラ整備・維持の担い手であると同時に、地域社会の安全・安心の確保が使命とされており、昨今の急激な社会の変革や高度・専門化する建設行政を柔軟かつ効果的に推進する必要があります。
このため、NPO法人愛媛県建設技術支援センターの協力を得て、近隣市町との共同開催により、2018年度から3カ年で約30項目の技術研修を実施することとしており、多様化する行政課題や住民ニーズを的確に捉えるとともに、より一層のコスト意識と公共工事の適正な施工につながるものと思っています。

―最後に建設業界へメッセージを。
11年に起こった東北大震災の復興事業や東京オリンピック・パラリンピックの開催などにより、建設業界の需要は高まり続けています。業界にとっては大変好ましい傾向と思われますが、それに伴い人手不足に陥っています。特に、技術者や技能者の不足が深刻で、震災の復興事業は予定よりも進捗が遅れているとされています。また、業界に就職する若者は減少の一途をたどっているとされており、長期的な目で見ると業界は厳しい経営環境に置かれていると考えています。しかしながら、地方の業界においては、基幹産業として良質なインフラ整備や地域経済の活性化、雇用の確保はもとより、災害時における救援・復旧活動など、市民の安全・安心のためにも必要不可欠な産業であり、業界が担う役割は大変重要です。このため、当市では歳入の増加が見込めない厳しい状況下においても、必要不可欠であるインフラ整備として、スマートICの整備をはじめ、総合保健福祉センターの建設、学校施設などの環境整備、道路・橋梁施設の長寿命化など事業を積極的に展開することにより、業界の下支えになればと思っています。

 

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(2019/8/27)

 

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