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(2019/9/25)

 

【静岡県】遠州灘沿岸で防潮堤や命山などの整備進む

 

 巨大地震による大型津波の発生に備え、静岡県西部地区の遠州灘沿岸域では防潮堤や命山、避難タワーの整備が進んでいる。
浜松市沿岸の防潮堤は、2020年3月の完成を目指し整備が進んでいる。県が本体工の整備、浜松市が効率的な土砂の確保・運搬を担当している。
天竜川以東の防潮堤関係では、掛川市が既存の防潮堤を嵩上げして防災林を強化する「掛川モデル」を推進。国土交通省の菊川河道掘削や市道整備で発生する土を活用し整備を進めている。袋井市も県発注工事などで発生する土を利用して同様の事業を実施。磐田市は県の太田川河道掘削で発生する土などを使い、竜洋海洋公園工区と海岸防災林工区を中心に整備を進めている。
この他、湖西市は新たに避難タワーの整備を計画しており、19年度中に実施設計に着手する。御前崎市は、県と協力して防災林の嵩上げを実施した他、避難タワーや高台への避難路も整備した。
遠州灘沿岸域で各自治体が進めている津波対策を紹介する。

整備が進む防潮堤

 

■浜松土木 残る五島・中田島整備し完成へ

静岡県浜松土木事務所は、浜松市の遠州灘沿岸(天竜川河口〜浜名湖今切口)で防潮堤整備工事を進めており、2020年3月の完成を目指している。
19年度は9月に舞阪3工区の築堤工を完了。五島4工区で延長0.6`の築堤と地盤補強工事、中田島2工区で延長0.8`の築堤を進めている。いずれも20年3月の完成を目指す。
防潮堤の総延長は17.5`。このうち19年9月11日現在で延長16.1`が完成した。良質な土砂にセメントを加え固める工法を堤体に採用し構造の安定性を確保。さらに覆土部に植栽し海岸防災林を再生する方式を採用した。防潮堤の先進事例となる「浜松モデル」として全国に発信している。
11月には市民と情報を共有する「完成前現場見学会」を開催する予定だ。

※写真は、五島工区で完成した防潮堤

 

 

■浜松市 3月下旬に防潮堤 土砂運搬完了予定

浜松市は、遠州灘沿岸域の防潮堤整備に使用する土砂の確保・運搬を担い、本体工を実施する静岡県浜松土木事務所と連携・協力しながら事業を進めている。
土砂の確保は当初の採取場である天竜区阿蔵山での採取を完了し、現在は北区引佐町栃窪の採取場をメインに進めている。同所では、2017年度から搬出を開始。採取土量は約25万立方bを予定している。運搬は、平日と祝日の午前8時から午後5時までに限定。ダンプトラックで採取場と防潮堤の工事現場を往復する。採取が完了した阿蔵山では、年間約15万立方bの土砂を搬出した。
防潮堤整備が完了する20年3月下旬に土砂の搬出も終える予定だ。

※写真は、土砂運搬の様子

 土砂運搬の様子

 

■湖西市 新居町浜名高師山に避難タワー計画

湖西市は、新居町浜名高師山地内で津波避難タワーの建設を計画している。2019年度下半期に実施設計を委託する予定だ。
構造は鉄筋コンクリート造で、高さは約10bを想定。収容人数は150人程度となる見込み。実施設計完了後、20年度の工事着手を目指す。
この他、湖西市内では静岡県浜松土木事務所が上田町命山の建設を進めている。高さは約10b。20年度末の完成を予定している。

 

■磐田市 竜洋と海岸防災林工区で防潮堤整備

磐田市は、静岡県が公表した第4次被害想定レベル2に対応した防潮堤整備に2014年度から着手した。対象区間は、竜洋海洋公園工区(計画延長1.6`)と海岸保全工区(計画延長1.4`)、海岸防災林工区(計画延長7.1`)、太田川右岸工区(計画延長0.3`、完成済み)の4カ所。
竜洋海洋公園工区では、18年度までに延長627bの盛土工を完了。19年度は防潮堤整備のため必要となる汽水湖の一部埋め立てと延長93bの盛土嵩上げ工を実施する。残る延長約0.9`区間は22年度を目標に整備を完了する予定だ。
海岸防災林工区は、市が海抜12bの盛土工を行い、その上に県が2bの生育基盤工と植栽を行う計画。19年度は福田地区の延長385bを対象に、海抜12bの盛土工を実施する。また、静岡県と林野庁との間で枯損していない防災林の整備方法について一定の要件を満たせば事業着手が認められることとなり、この区間の整備に向けて県と調整を進めている。
堤防整備の全体計画は、西端の天竜川から東端の袋井市境までの延長11`。基本構造を高さ14b、勾配1対3としている。

※写真は、磐田市内で整備が進む防潮堤

 磐田市内で整備が進む防潮堤

 

■掛川市 大東工区で2件の工事発注進める

掛川市は、2014年度から海岸防災林強化事業として防潮堤整備を進めている。計画期間は15カ年。大須賀、大東の2工区に分け、計画総延長は9.7`。天端部の幅は25bで勾配は18度。
大須賀工区は、計画延長4.8`。18年度末までに延長約2`の整備を完了した。大東工区は計画延長4.9`で、18年度末までに延長約500bを整備した。
現在、大東工区の工事2件について発注手続きを進めている。2件のうち浜野地内は、ダイトーケミックス静岡工場(浜野3110)南側付近=写真。施工延長は150b、土量は35000立方b。もう1件の浜川新田地内は、倉敷繊維加工静岡工場(浜川新田2052)西側付近で施工延長は150b、土量は68000立方b。いずれも19年度内の完成を目指している。
この他、大須賀工区内の大渕地内で2件の盛土工を発注し施工している。

※写真は、ダイトーケミックス静岡工場の南側現況

 ダイトーケミックス静岡工場の南側現況

 

■袋井市 湊地区内で盛土工を継続

袋井市は、2014年度から「袋井幸浦の丘プロジェクト」として浅羽海岸(延長約5.3`)を対象に静岡県と連携して防潮堤整備を進めている。海岸防災林に市が砂丘造成盛土工を実施し、静岡県が生育基盤盛土工などを行う。
19年度は、湊地区で延長約100b、高さ10b、土量約13000立方bの盛土工を進めている。工期は約3カ月。設計は袋井市建設課が担当した。防潮堤全体の完成は28年度を予定している。
20年度以降、残る湊地区の延長約760bと中新田地区の延長約540bの施工を進める。事業完了までに約27万立方bの土量が必要となる見込みだ。

 

■自治会の要望で避難路など整備

御前崎市は、津波避難路の整備と非難看板の設置を進める。避難路整備は、白羽地区と御前崎地区で行う。自治会からの要望を参考に既存歩道と階段の踏み面拡幅、階段撤去とスロープ、手摺りの設置を計画する。
避難看板は、御前崎海岸や尾高海岸などの観光客が多く訪れる場所に、視認性が高いものを新しく設置する。
同市は、レベル1の津波に対応するため、白羽地区で盛土工などを施工済み。施工延長は1770メートル。また、2016年度には津波避難困難地域である池新田地区の工業団地に、約110人が避難できる津波避難タワーも建設した。

 

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