現場の「新しい働き方」IT人材の確保が課題|建設ニュース 入札情報、落札情報、建設会社の情報は建通新聞社 中央

建設ニュース、入札情報の建通新聞
建通新聞

ログイン

伊賀市役所

現場の「新しい働き方」IT人材の確保が課題

 新型コロナウイルス感染症を契機としてテレワークなどの"新しい働き方"が建設業界でも定着しつつある一方で、特に建設現場ではIT機器を活用できる人材や、発注者・取引先の理解が大きな課題となっていることが、建通新聞社が行ったウェブアンケートで明らかになった。

 オフィスでオンライン会議やテレワーク導入に取り組んだという回答は全体の半数を超えた。他方、建設現場でオンライン打ち合わせや遠隔臨場を実施した回答者は2割未満にとどまっており、現場でITを生かすためのノウハウの不足を指摘する声が寄せられた。

 

■アンケート概要

 アンケートは6月15〜19日に建通新聞電子版のウェブサイトとメールマガジンを通じて建設企業を対象に実施し、62件の回答を得た。
 回答者の業種は土木建築工事業が最多の32・3%で、以下、設備工事業(17・7%)、建築工事業(16・1%)、土木工事業(12・9%)の順に多かった(*グラフ1)。回答者の勤務地は東京都が最多の35・5%で、以下、愛知県(12・9%)、静岡県(12・9%)、神奈川県(11・3%)が上位を占めた。
 
<グラフ1・回答者の業種>

 
 

■「新しい働き方」の取り組み状況

 回答した建設企業の80・6%が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて衛生対策の強化やテレワークなど働き方の見直しを実施<グラフ2>。
 そのうち80%が、取り組みの全てかまたは一部の継続を予定しており、"新しい働き方"は一定程度定着しつつあると言える。
 
<グラフ2・新型コロナウイルス感染症を受けて、働き方の見直しを行ったか否か>
 
 
 
 オフィスでの業務の見直しの内容に関する質問(複数回答)では、「消毒用アルコールの設置」(96%)や「事務所の換気改善」(78%)に続いて「オンライン会議の導入」(68%)、「テレワークの導入」(64%)が上位を占めた<グラフ3>。
 
<グラフ3・オフィスでの「新しい働き方」(横軸は回答数)>
 
 
 
 他方、現場での働き方では「発注者、設計者などとのオンラインでの打ち合わせ」(26%)や「ウェブカメラなどを用いた遠隔での監督、検査」(8%)などITを活用した遠隔での業務の実施率は低かった<グラフ4>。
 
<グラフ4・現場での「新しい働き方」>
 
 
 

■「新しい働き方”の成果と課題」

 アンケートでは「建設業でのテレワークは、一部のバックオフィス業務しか対応できない」など、現場作業とテレワークの相性の悪さを指摘する声が複数寄せられた。施主が遠隔地にいる回答者からは「設計など細かい打ち合わせができず、よけいに工期が追い込まれる」として工期延長を求める意見が出た。
 なお、テレワークやオンライン会議のために使用したツールは、ZOOM(ズーム)が過半数を占め、その次にマイクロソフト社が提供するTeams(チームズ)が多かった<グラフ5>。
 
<グラフ5・テレワーク、オンライン会議などのために使用したツール>
 
 
 
 テレワークやオンライン会議の成果を問う質問では、「大きく効率化した」「効率化した」が61・7%を占めた一方で、「効果はなかった」が23・4%、「逆に効率が低下した」が14・9%となった<グラフ6>。
 成果が上がらなかった理由としては、「ノウハウの不足」と「そもそも業務内容が向かない」(いずれも66・7%)がトップに並んだ。次いで、「IT機器の不足」と「取引先など、関係者がテレワークに対応していない」「事務作業が会社でないとできない」(いずれも55・6%)といった回答があった。
 
<グラフ6・“新しい働き方”の成果>
 
 
 
 回答者からは「(技術を)マッチングさせる人材、ソフト開発業者が不足している」「人工知能(AI)、ロボットの開発が必須だが、開発計画を立案、推進できる人材がいない」など、IT活用のための人材が不足している現状を訴える声も上がった。
 また、現場での働き方の見直しに際し、発注者や元請けからの必要経費の支払いの有無を問う質問では「まったく支払われない」が46・9%を占めた(*グラフ7)。必要経費の支払を求める通知を出している国土交通省と比べて対応が遅れている地方自治体の実態を指摘する声も出た。
 
<グラフ7・働き方の見直しに対する発注者、元請けの追加での支払い>
 
 

 

■「新しい働き方」への公的支援

 新型感染症の社会経済活動への影響を低減するため、政府・地方自治体はテレワークなど働き方の見直しに対し補助金などの支援制度を設けている。しかし、回答者の中で公的支援を利用した企業が13・3%にとどまった。ネックとなったのは「手続きが煩雑」(55・7%)、「どのような支援メニューがあるかわかりにくい」(42・6%)といった点だった。
 今後、どのような公的支援の拡充を望むかという質問では、「IT機器の購入など必要経費の補助」(66・7%)が最多で、次に「ITを業務に生かせる人材の育成」(43・3%)が多かった<グラフ8>。
 
<グラフ8・今後に拡充すべき公的支援>
 
 
 

 

人と建設と未来ラボ3
電子版のお申し込みはこちら 新聞(宅配)のお申し込みはこちら
カタログカタログ