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Catch-up 更新財源確保への道筋は

高速道路の整備には、建設費と維持管理費に利用者が支払う料金を充当する「償還制度」が採用されている。現行の償還期間が終了する2065年以降は、無料開放されることが原則だ。ただ、膨張する更新・修繕費の他にも、激甚化する災害や自動運転への対応など、高速道路のサービス水準を維持するための追加投資の必要性が高まっており、65年以降の料金徴収期間の延長や料金の引き上げなどによる財源確保の議論が進んでいる。
 償還制度は、財政投融資や金融機関からの借り入れで高速道路を整備し、利用者からの料金を返済に充てる仕組みで、1952年に創設された。小泉政権下で不採算路線の建設に歯止めがかからないとの批判を受け、道路公団の民営化時に償還期間の期限を2050年と定めた。
 ただ、民営化後の12年12月に中央道笹子トンネル天井板落下事故が発生。高速道路の老朽化が抜き差しならない状況に追い込まれていることが浮き彫りになった。国土交通省はこの事故を受け、老朽化対策の財源を確保するための道路整備特別措置法を改正し、償還期間を2065年まで15年延長。この償還期間の延長によって、全国の高速道路の更新財源は現在までに約5・2兆円が確保されている。
 しかし、ここにきてこの更新計画に追加投資の必要性が指摘され始めた。高速道路の更新・修繕を進める中で、構造物の補修を繰り返すと性能回復が小さくなるため、補修間隔を短くする必要があることが明らかになった。性能が限界に達する前に抜本的に性能を回復させる大規模更新・修繕を繰り返し実施する必要があることも分かっている。
 高速道路には、一般道の10倍以上の大型車両が通行しており、劣化が進みやすい環境にもある。
 高速道路の更新・修繕費が増加する見通しを踏まえ、社会資本整備審議会の国土幹線道路部会では、今夏に更新・修繕の財源に関する提言をまとめる。災害に備えて暫定2車線区間を4車線化し、ネットワーク機能を強化したり、自動運転車両にインフラとしても対応するなど、社会変化を見据えた投資のための財源確保も必要だという。
 国交省は6月に開いた部会で、追加投資の財源を確保するための償還制度の見直しに向けて、「料金引き上げ」と「料金徴収期間の延長」の両案を提示した。
 このうち、現在の世代に負担増を求めるのが料金の引き上げだ。更新計画を含めて高速道路会社が抱える債務に追加投資分の費用を上乗せするため、現在の利用料金を値上げする形で追加投資分が反映される。
 2065年としている料金徴収期間の延長には、14年と同じ法改正が必要になる。現在の債務は65年の償還期間までの料金で返済し、追加投資額に応じて料金徴収期間を延長する。料金は据え置きのままだ。
 期限を定めずに償還期間を延長する、いわゆる「永久有料化」の導入は「引き続き議論する」として当面は先送りする。償還制度の見直しがいずれに落ち着くにせよ、債務返済後に無料開放する原則は現時点では維持されるようだ。

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