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「夢をかなえる 若手がやめない建設会社」  第4回 認められている実感を支えに

社員がなかなか定着しないという課題に直面していた向洋電機土木(横浜市)が取り組んだのは、それまでの社員教育、コミュニケーションの在り方を転換するとともに、社員だけでなくその家族の「満足」を重視し、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境を整備することだった。取り組みのかいもあって、かつて5、6人にとどまっていた社員は37人にまで増加。女性を中心に入社希望者も増えたという。
 「若手社員の定着には仕事の達成感が大切だ」と同社の倉澤俊郎社長は強調する。そう考えるようになったきっかけは、マンションの現場を担当していた入社間もない社員から、現場への早朝出勤などを理由に退職の申し出があったことだ。倉澤社長は承諾しながらも「電気工事業なのだから、マンションの明かりがついてから辞めろ」と言葉を掛けた。プロとして「現場が完成した時の喜びを感じてほしい」という強い思いからだった。
 その言葉を受け止め、無事に完成に立ち会った社員は、結果的に退職を思いとどまった。これを契機として同社は、社員が仕事に達成感を得られるようにコミュニケーションの取り方を工夫。その後、若手の定着率も改善していった。
 他者からの承認を可視化するSNSの利用が当たり前の現代の若者は、「人から認められたい」との思いが上の世代より強いと言われる。倉澤社長は若手社員への教育について「褒めて、認める姿勢が大切だ」と力説する。「𠮟る際もまずは褒めた上で。雪隠(せっちん)詰めでは反発心を抱いて、最後は不満しか残らない。逃げ道をつくってあげつつ、指導していく必要がある」。雑談を通じて、個人個人の特性を把握することも重要だという。
 同社がテレワークを導入したのは2008年のこと。新型コロナウイルス感染症対策の拡大を受け、今では全社員に適用している。新たに創出した時間を活用して資格取得や自主勉強といった社員の「自分磨き」の時間を確保したり、削減した移動コストを福利厚生費に充てて、社員とその家族が利用できるワーケーション施設も建設した。業務の効率化により仕事を早く終えて帰宅できるようになり、社員とその家族の双方の満足度を高めることができたという。
 ワーク・ライフ・バランスに関心が高い女性の入社希望も増え、今では女性社員の比率が3割を超え、人手不足も解消することができた。倉澤社長は説く。「最も重要なことは人を喜ばせること。社員とその家族に喜んでもらえることを考える。それが一番だ」
(神奈川支社=杉山弘祐)

向洋電機土木株式会社(横浜市南区)
業種 電気設備設計・施工
従業員数 37人

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