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「夢をかなえる 若手がやめない建設会社」  第9回 若手を育てるとは、会社を育てること

「若い力と創造力で広く社会に貢献する」との企業理念を掲げる。今日、明日のことだけでなく、「将来を見据えて社員を育てることが、社会に貢献できる会社を作ることにつながる」―。大勝建設(大阪市)の脇坂育男代表取締役はそんな思いから、8年前に「毎年10人の新卒採用を目指す」という方針を打ち出した。以来、積極的な採用活動に加えて、若手にいかに定着してもらうかという難題に全社を挙げて向き合ってきた。いまでは全社員109人のうち30歳以下の若手が32人を占める。
 拠点である近畿地方以外にも足を伸ばして各地の学校とパイプをつないできた。インターンを開催するなど積極的な採用活動の成果もあって、30歳以下の若手が全体の約3割を占めるに至った。一方で45歳以上のベテランも45人に上る。相対的に、若手を支える先輩役の30代から40代前半の層が薄くなってしまった。
 採用活動を担う神里和明総務部長は「仕事の性質上、現場ではベテランと若手が”上下の関係”で接することが多い。それとは別に、同世代が励まし合える”横のつながり”が必要」だと強調する。こうした考えに基づき、5年前から35歳以下の社員が部署の垣根を越えて集う「若手会」を開催してきた。
 若手社員同士の交流を促すのは、精神的な支え合いだけでなく、「話すこと」に重きを置いたコミュニケーション能力の開発も期待してのことだ。施工管理を担う技術者には、発注者や協力会社の技能者との交渉事が欠かせない。同社の工藤哲夫建築部長は「他者と話すことに苦手意識を抱く若手も少なくない」とみる。しかし、先輩との会話など、わずかなきっかけで若手の意識が変わったことがこれまでにもあった。「課題は、話すことの大切さをいかに伝えるかだ」(工藤部長)
 これからも社会に貢献していく会社であるために、ますます若い力が必要になる。脇坂社長は、若手の育成・定着には会社全体の意識改革が欠かせないという。「今の若者の感性を踏まえながら、気軽に話しやすく、的確にアドバイスできる環境をつくっていきたい」と、若者と向き合う姿勢はいたって柔軟だ。
 現在の若手が離職することなく中堅に成長すれば、次の世代の「人づくり」のサイクルが動き出す。そんな未来を実現するためにこそ、若手が働きやすい環境づくりへの地道な努力は欠かせない。若手を育てることで、会社を育てる―そんな同社の取り組みが、これから「本番」を迎える。(大阪支社=鈴木康平、連載おわり)

大勝建設(大阪市生野区)
業種 総合建設業
従業員数 109人

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