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Catch-up 退職自衛官を現場の即戦力に

建設業の入職者に占める転職入職者の割合が増加している。厚生労働省の雇用動向調査によると、2019年度の建設業への入職者のうち、建設業以外の業種からの入職者は38・7%に上り、10年前の09年度と比べ12・1ポイント上昇した。中途採用の技術者・技能者の中でも、特に現場で高い能力を発揮し、即戦力となっているのが退職自衛官だ。
 自衛官は、2〜3年の任期制自衛官が大半を占める。幹部への昇任を希望しない自衛官は、任期を終えた20歳代で退職し、民間企業に再就職する。20代で退職する自衛官の再就職を支援するため、防衛省は自衛官の在職期間中に再就職の役に立つ資格の取得を支援している。
 在職中に取得できる資格には、車両系建設機械、電気工事士、電気主任技術者、玉掛技能者、非破壊検査など、建設業向けの資格も数多くある。災害対応などの任務に当たる自衛官の中でも「特に陸上自衛隊の施設科所属の自衛官は建機の扱いにも慣れているため、建設業との親和性も高い」(防衛省人事教育局人材育成課)のだという。
 実際、2020年度に再就職した自衛官のうち、建設業を再就職先に選んだ退職自衛官は全体の1割に上るという。もともと任期付きで採用している自衛官は『自衛隊を中途で退職した』とみられることがある。防衛省では「任期終了後の若い自衛官を自衛隊新卒≠ニ呼び、各産業に雇用を呼び掛けている」(人材育成課)。
 ただ、一般の転職入職者と自衛官が異なるのが「予備自衛官」と「即応予備自衛官」という仕組みがあることだ。この仕組みでは、有事や大規模災害の発生時に動員力を確保するため、予備自衛官などへの任官を希望した退職自衛官を平時から訓練し、緊急時に召集する。
 予備自衛官らは、災害発生時や訓練の期間、職場を一時離れることになる。防衛省は、訓練・災害召集が雇用の障壁とならないよう、訓練などに赴く予備自衛官への手当てとは別に、雇用企業に対する給付金制度も設けている。訓練日数が年間30日に上る即応予備自衛官では、年間51万円が雇用企業に給付される。
 また、予備自衛官を雇用する企業には、防衛省が発注する自衛隊施設の建設工事でもインセンティブを与えている。予備自衛官・即応予備自衛官を雇用し、現場に配置する企業は、入札時の総合評価方式で加点措置を受けられる。
 少子化による若年人口の減少は今後さらに加速する。建設業の採用活動もより厳しい産業間の競争にさらされる。退職した自衛官をはじめ、さまざまな人材を受け入れることが、施工力を維持し、企業としての持続可能性を高めることにもつながる。

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