いまから備えるインボイス【第5回】     元請けに建設業法違反の恐れ?|建設ニュース 入札情報、落札情報、建設会社の情報は建通新聞社

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いまから備えるインボイス【第5回】     元請けに建設業法違反の恐れ?

Q.建設業で懸念される問題とは? 
A.インボイス制度において、下請け事業者が免税事業者である場合には、元請け事業者が消費税を控除できなくなる点が問題となります。
 元請け事業者などがこうした問題を解消するために、「下請け事業者に消費税を請求させないようにする」「無理やり適格請求書等発行事業者になることを選択させる」「さもなければ取引をしない」といった対応をとることも懸念されます。
 私見になりますが、上記のことを元請け事業者などが、下請け事業者の合意を得ず、一方的に行えば、建設業法に違反する恐れがあると考えています。理由は建設業法遵守ガイドラインにおける「自己の取引上の地位の不当利用」に該当する可能性があるためです。なお、下請法では建設工事に関する請負契約は対象外となっていますので、ここでは建設業法違反とならないための対応策を確認します。

Q.建設業法違反にならないための対応策とは?
A.「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある元請け事業者が下請け事業者の指名権、選択権などを背景に「下請け事業者を経済的に不当に圧迫するような取引などを強いること」(建設業法遵守ガイドライン)となっています。
 具体的には、元請け事業者が「協議を行うことなく」「不利益な取り扱いを示唆する」「一方的に決める」「合意をしないで」といった下請け事業者への対応がトリガー(きっかけ)になると考えます。
 従って、元請け事業者などは下請け事業者とインボイス制度において協議を行い、合意をしておくことが必要となります。
 その上で、下請け事業者が「適格事業者になる」「ならない」のどちらであっても、合意をして書面に残すことが望ましいでしょう。もちろん、協議についても証拠を残しておくと、さらに望ましいことになります。言い換えれば、元請け事業者などからの要請ではなく、最終的に下請け事業者が自己の意思表示として選択したことを表明し、元請け事業者と下請け事業者が合意したことを合意書として証拠に残すことになります。(おわり)

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執筆者プロフィール

Liens税理士・行政書士事務所(東京都新宿区)      代表 税理士・行政書士 齋藤 幸生
齋藤 幸生
Liens税理士・行政書士事務所(東京都新宿区)      代表 税理士・行政書士
平成29年5月1日にLiens税理士事務所を開業。建設業とフォワーティング業に特化している。税務のほか資金繰り支援と補助金申請で関与先の資金繰り改善、事業計画の策定による経営改善を行っている。
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