Catch-up 就業者ピークから200万人減
総務省が発表した労働力調査によると、建設業の就業者数は2021年平均(速報値)で前年よりも10万人減少し、482万人となった。1997年のピーク時に685万人だった就業者数は、この24年の間に200万人以上減少したことになる。
21年の建設業の就業者数は、46年前の1975年(479万人)とほぼ同じ水準だ。ただ、当時の全産業の就業者数は5223万人で、2021年の就業者数(6667万人)よりも27・6%少ない。全産業に占める建設業就業者のウエートは確実に下がっている。
国内総生産に対する建設投資額の割合も1975年度の20・8%から、21年度は11・2%とほぼ半減した。就業者数の増減は、市場規模に比例する。建設投資の減少が進んだ2000年代、建設業から他産業への労働移動も加速した。
建設業では、就業者数の減少だけでなく、高齢化も進んでいる。過去20年の間に、20代が55万人(55万人減)とちょうど半数に減少。その反面、65歳以上の高齢層は47万人から82万人へと大幅に増加した。
高齢者が就業者全体の2割いる状況は、産業全体としても、企業としても、常に大量離職のリスクを抱え続けている状況にあるということだ。高齢層の技術・技能を継承しつつ、他産業よりも遅れている働き方改革や、給与水準の引き上げによって、若年層を担い手として招き入れるための労働環境を整える必要がある。
国土交通省や自治体、業界団体なども問題意識を共有し、若手の確保・育成に向けた働き方改革、担い手確保策を進めてきた。徐々に建設業の労働環境も向上しているとはいえ、依然として多くの課題は残されたままだ。2024年4月の時間外労働の上限規制に備え、現場の長時間労働の是正や週休2日の定着に残された時間は2年しかない。
社会に欠かすことのできないインフラを維持するためには、建設業も老朽化対策や防災・減災対策を進めるための施工力を維持しなくてはならない。デジタル技術の活用などにより、現場の生産性を高める取り組みを継続していくことも必要だ。建設現場のDXをさらに進めることは、建設産業に若手を呼び込み、担い手不足の解消にもつながっていく。
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