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Catch-up 賃上げ目標3%で合意

国土交通省と建設業4団体は2月28日の会合で、2022年の賃金上昇率を「おおむね3%」とする新しい目標を申し合わせた。岸田内閣が「新しい資本主義」の実現に向けて経済界に求めている賃上げ目標(3%以上)との整合をとり、「おおむね2%以上」としていたこの1年間の目標よりも高い数値を目指すとした。
 3月1日に適用された公共工事設計労務単価は全国全職種平均で前年度と比べ2・5%上昇した。昨年3月に国土交通省と建設業団体が目標と定めた「おおむね2%以上の賃金上昇」を技能者の賃金実態を反映する労務単価の上昇率で上回り、目標をクリアした格好だ。
 ただ、建設業の賃金の動向は必ずしも上昇基調にあるわけではない。厚生労働省の毎月勤労統計調査で、2021年の現金給与総額は前年と比べ0・3%減と9年ぶりに減少した。調査対象が事業所規模5人以上だったり、技術者や本社・本店社員の給与も含まれるなど、技能者の賃金が対象の労務単価とは指標が異なるとは言え、この先の賃金上昇を楽観視できる状況にあるとは言い難い。
 今回の労務単価は、新型コロナウイルス感染症の影響下であることを踏まえた特別措置を2年連続で適用した他、現場の時間外労働の短縮に必要な経費も新たに上乗せされている。担い手を確保・育成しようという経営者の努力に行政側の政策的な判断が加わった「官民協働」の単価上昇であることは間違いない。
 さらに、建設業が賃金上昇を持続できる環境を整えるため、品確法で発注者に求められている「適正な利潤」を受注者が確実に確保できるよう、土木工事積算基準の一般管理費等率も4月から引き上げる。直轄工事の低入札価格調査基準の計算式も見直し、一般管理費等の算入率を55%から68%に引き上げている。
 2月28日の意見交換で、全国建設業協会の奥村太加典会長は、おおむね3%の賃上げ目標について「単価引き上げ分(2・5%)を上回る目標設定。中小企業には相当厳しい」との考えを示しつつ、「さらなる賃上げにつながる好循環を堅持することは絶対に必要だ」と、賃上げの実現への強い意欲を語った。
 斉藤鉄夫国交相も、目標達成に向けて「全ての関係者が可能な取り組みを進める。建設業の発展に向け、業界と連携して取り組む」などと応じた。

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