中堅中小企業M&Aで失敗しない進め方 第3回 お見合い(TOP面談)
第三回は、TOP面談です。初めて両者が顔を合わせる場面であり、M&A業界では「お見合い」とも呼ばれます。ここでは大まかな流れを説明し、注意するべきポイントを解説します。
■TOP面談
第二回のマッチングの段階で、候補先へ提携を打診し、その中で高い関心を持った候補先企業の経営者とTOP面談を行います。TOP面談では、両者が初めて顔を合わせ、お互いの企業の紹介や企業文化を共有し、両者の理解を進めていきます。初めに譲渡側から譲渡の検討理由や相手に求めていることなどを話していただき、続いて譲受側から本件の狙いや今後のビジョンなどを話しいただきます。その後、フリーディスカッションを行い、全体を通して1時間から2時間程度で終了することが一般的です。
■注意するべきポイント
TOP面談においては、事前に何を確認したいのかを明確にして臨むことが重要です。両者のコミュニケーションが円滑に進むだけでなく、成約に向けて前進するために何が重要なのか、何があると先に進めないのかを抜け漏れなく確認することに繋がります。
またTOP面談は条件交渉の場ではないということもご認識いただく必要があります。条件交渉はお互いの利害がぶつかり合うため、直接TOP面談の場で行うことは望ましくなく、条件交渉は仲介会社に任せることが大切です。
TOP面談への事前準備が不十分であると、検討にあたって最も大切なことを聞き逃してしまうこともあり得ます。また最悪の場合、相手からの印象も悪いものとなってしまい、破談になってしまうケースも起こりえます。
TOP面談では、事前に相手の基本情報を理解したうえで、TOP面談にて何を確認したいのかを整理をしておくことが重要です。また当日は条件交渉をするのではなく、相手の理解を深める場であるという認識をもって臨むことが大切です。次回はM&A業界においては婚約に例えられる基本合意と、買収監査について解説します。
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執筆者プロフィール
(株)日本M&Aセンター業種特化事業部業界再編部シニアチーフ 慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、新卒にて日本M&Aセンターに入社。祖父の事業承継課題という身近な問題から、M&Aによる中小企業の存続と発展を使命に従事。最年少にてディールマネージャーに昇格。現在は建設業界に特化したチームをリードし、数多くの業界再編型M&Aを推進する。 (株)日本M&AセンターHP(https://www.nihon-ma.co.jp/sector/c_construction.php)