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発注者指定の拡大を急げ 建設業の週休2日

2021/5/24 

建設業の労働時間の短縮と、担い手確保のための大きな鍵の一つである現場への週休2日(4週8閉所)の導入に関して、発注者指定型の週休2日モデル工事の適用で先行する国土交通省の工事と、それ以外の発注者の工事との間で格差が際立っている。24年度から建設業にも適用される時間外労働の上限規制もにらみ、国交省以外の工事でも、週休2日を実現する手立てを急ぐ必要がある。
 日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、鈴木誠一議長)が、組合員を対象に行った20年度の「時短アンケート」(回答1万7039人)によると、国交省の工事では、4週8閉所が50・5%を占め、4週4閉所以下は23・3%だった。
 一方、同じ公共工事でも、国交省以外の省庁の4週8閉所は16・6%、政府系独立行政法人は16・2%、地方自治体は19・1%にとどまった。これらの発注機関では逆に4週4閉所以下が3〜4割を占めた。
 4週8閉所の割合は民間工事ではさらに低下する。マンションデベロッパーでは10・7%しかなく、それ以外の民間企業や個人でも14・2%でしかない。マンションデベロッパーでは4週4閉所以下が49・4%と約半数に上っている。
 土曜閉所の課題に関する回答(複数回答)では、「短工期発注による工程の厳しさ」が64・7%と突出して多く、「技能労働者が休みたがらない(作業員の日給制の問題含む)」が29・7%、「突発事態」が25・6%、「発注者の理解」が23・2%で次いだ。
 建設業の週休2日の実現にはまず、適正な工期の確保や、経費の上乗せなど発注者の対応が不可欠だ。これらを約束する発注者指定型の週休2日モデル工事の有効性が、日建協のアンケート結果では如実に表れた。他の公共工事の発注機関でも、発注者指定型の導入を積極的に推進すべきだ。
 モデル工事であっても、受注者希望型では、希望されないケースが少なくないという。また、土曜を休まず、工期を短縮することで利益を出そうと判断する受注者もいるだろう。週休2日導入の実効性を高めるためには、発注者指定型であることが肝要だ。
 建設業の労働時間の短縮を巡っては、著しく短い工期での請負契約を発注者に禁じる改正建設業法が20年10月に施行した。これに合わせ『工期に関する基準』を国交省の中央建設業審議会が策定した。
 民間工事での週休2日の拡大に当たっては、これらを発注者に十分に説明し、理解を得ていく必要がある。短工期をてこに受注を狙う“工期のダンピング”は絶対にあってはならない。
 そして、適正工期と経費の確保などと並んで週休2日を実現する上での大きな課題は、日建協のアンケート結果にもあるように、日給制の技能労働者への対応だ。この問題の解決策は、最終的には月給制への移行しかないのではないか。月給制にするためには、工事量が常に安定している必要がある。発注と施工の平準化は極めて重要だ。
 日本の社会で週休2日制が一般化して30年以上が経過した。いまでは週休3日が議論され、既に制度化している企業もある。建設業の対策に残された時間はもうない。

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