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外国人材の入国制限緩和 誰もが働きやすい産業に

2021/11/29 

特定技能外国人の受け入れがスタートしてから2年半が過ぎた。出入国在留管理庁の発表によると、9月末までに特定技能の在留資格を取得した外国人は、3万8337人いる。このうち建設分野では、農業分野、介護分野に次いで3番目に多い3745人が特定技能の在留資格を取得している。
 2019年4月に始まった特定技能外国人の受け入れは、新型コロナウイルス感染症の拡大によって海外試験が中止・延期に追い込まれたり、21年1月に始まった入国制限によって、一時的に停滞していた。建設分野で実際に特定技能の在留資格を取得しているのは、すでに国内に滞在している技能実習修了者が大半だ。
 技能実習生に目を移しても、入国制限によって在留資格を取得していても日本に入国できていない外国人が建設分野だけでも数万人に上っているという。
 政府は11月8日、新型コロナウイルスの国内感染者数が減少していることを踏まえ、海外からの入国制限を緩和した。長期滞在の技能実習生や特定技能外国人は、入国前の待機や出国・入国時の検査、入国後14日間の待機を経れば、日本に入国できるようになった。
 新型コロナウイルスの感染が落ち着いている現在の状況が続ことを前提に、外国人材の受け入れが再び本格化しようとしている。政府は、特定技能外国人の受け入れから2年が経過したことを受け、在留期間の更新に上限がなく、家族も帯同できる「特定技能2号」の制度検討にも入った。
 現在は、19区分と細分化している特定技能の受け入れ対象職種を大くくりに整理することも検討されている。建設業にとっても、外国人材を受け入れやすくなる制度が整えられようとしている。
 ただ、建設現場で働く外国人材の労働環境にはまだまだ課題がある。昨年10月末時点で、日本の国内に従事していた技能実習生は7万6567人で、この10年で約11倍に増加した。その一方で、技能実習生の失踪が目立って多いのも建設業だ。技能実習の全失踪者数に占める建設分野の割合は約4割と突出して高い。
 労働基準監督署の監督指導の結果を見ても、建設業では79・1%の受け入れ企業で法令違反が発覚している。違反事項としては、賃金支払い、安全基準、労働時間などが多かったという。
 技能実習のこうした実態を踏まえ、特定技能外国人を受け入れる建設企業には、建設分野独自の受け入れ基準が設けられている。日給月給が多い建設技能者は受注量の季節変動が賃金にも影響するため、受け入れ企業には特定技能外国人を月給制とすることを義務付けている。また、受け入れ企業が適正に就労状況を管理できるよう、建設キャリアアップシステムへの登録も義務付けている。
 技能実習生が失踪の要因である「賃金」「労働時間」「安全」の問題は、今の建設現場の労働環境の実態であり、国内人材を確保する上でも共通する課題だ。入国制限の緩和や実質的に永住権のある特定技能2号の受け入れが始まろうとする今、建設産業は、国内人材・外国人材を問わず、だれもが働きやすい環境づくりを目指すべきだ。

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