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熱中症警戒の夏 怖さ自覚し対策万全に

2022/7/11 

梅雨明けと同時に、いきなりの猛暑到来となった。気象庁の1カ月予報によると、7月中旬からは夏空が広がり、ほとんどの地域で気温が平年よりも高い「暑さの厳しい夏」がやってくる。建設現場でも「熱中症」への厳重な警戒が必要だ。
 消防庁がまとめた全国の熱中症による救急搬送状況では、梅雨明け前の1週間だけで4551人が搬送され、4人が亡くなった。道路の工事現場などを含む仕事場からの搬送者は419人と全体の1割近くを占めた。
 過去5年間の熱中症による死傷者数を見ても、建設業は876人と全産業の中で最も多い。2021年も死傷者数128人、うち死亡者数11人と死傷・死亡災害の最多業種となった。熱中症による死傷・死亡災害が他産業と比べて多い建設業では今夏、特に注意が必要だ。
 熱中症は、めまいや立ちくらみなどの軽度な症状(初期症状)であれば、涼しい場所で水分や塩分を補給する応急処置で、大半の場合は回復する。しかし、症状の異変を見逃し、手当てが遅れると重症化し、命に関わるケースもある。
 日本救急医学会がまとめた症状と治療の分類を見ると、「頭痛」「嘔吐(おうと)」「倦怠(けんたい)感」「虚脱感」「集中力の低下」といった症状は重症の一歩手前であり、医療機関への速やかな搬送が必要だとする。
 また、昨年の建設業の死傷者を見ると全体の7・8%は炎天下の屋外ではなく、屋内での作業に従事していた。熱中症にかかるのは「炎天下に長時間いた」「真夏の暑い中で運動をしていた」といった典型的な場面ばかりではない。日本病院協会によると、梅雨の合間に突然気温が上がったなど、体が暑さに慣れていない時にもかかりやすいという。太陽光を直接浴びていないからといって危険性がないわけではないことも肝に銘じておきたい。
 厚生労働省は、業種や規模を問わず全ての職場を対象とした『職場における熱中症予防基本対策要綱』で、熱中症の危険度を気温などから判定する「WBGT値」(暑さ指数)の実測と、その基準値に応じた必要な措置を規定している。
 一方で、昨年、熱中症による死亡者を出した建設現場の中にはこうした規定を守っていない現場があった。救えたかもしれない命があったかと思うと、やり切れない。
 現場管理者は規則を徹底して守ること。そして作業員本人も含め、いま一度熱中症の怖さを自覚し、自分や仲間の体調変化に早い段階で気づけるよう、細心の注意と目配りが必要だ。
 熱中症は必ず防ぐことができる。日ごろから「暑さに備えた体作り」を心掛け、作業中に少しでも体調に異変を感じたら、ためらうことなく涼しい場所に移動し、水分や塩分を補給すること。建設現場であれば、作業環境を万全に整えておくことも欠かせない。
 昨年の死亡者の中には次代を担うべき10代の若者もいた。被災者を一人でも減らしていくための努力が求められる。その努力は、より安全で魅力的な建設現場の実現、ひいては担い手の確保・育成にもつながるはずだ。

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