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不要不急の工事 発注者が中止の判断を

2020/4/16 東京版 掲載記事より

新型コロナウイルス感染症の拡大が深刻化し、東京都は不要不急の外出自粛や在宅勤務を呼び掛けている。しかし建設業界で工事を一時中止するなどの方針を示した会社は一部に限られる。なぜか。
 SNS上でこんな投稿があった。某区が発注した設備工事の現場従事者の声だ。先ごろ、感染拡大を懸念し、現場の一時中止を申し出たが、認められなかった。「現場は緊急性が低いと思われる工事。にもかかわらず『人がいない今だからこそ作業をどんどん進めてほしい』と言われた。同業の現場からとうとう死者が出た。今後も被害が拡大したら誰が責任をとれるのか」。
 請け負いという立場上、発注者や元請けに『現場を止めたい』とは言いづらい。しかし現場従事者には高齢者や持病持ちの人もいて、不安と恐怖が広がっている。
 中央区では既に一部工事の請負者から作業中止の要望があり、所管課は中止を受け入れた。早々に現場を止めたデベロッパーもある。作業員の命と健康を守るため、発注者から「不要不急の工事はストップ」の明確な発信が求められる。