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建滴 都道府県発注工事での排除率42・7% 低入札価格調査制度の改善を急げ

2011/8/29 静岡版 掲載記事より

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品質の低下、下請けへのしわ寄せ、安全対策の抜け落ち―。工事の低価格受注をめぐるこれらの懸念は、良質な社会資本を整備する責務を負う発注者にとって最優先で払拭(ふっしょく)しなければならない課題だ。
 国土交通省では、特別重点調査や施工体制確認型総合評価方式の導入、調査基準価格の引き上げなどさまざまな策を講じてきた結果、ここ数年の低価格応札の発生率は5%を切る状況で推移している。
 一方、都道府県での発生率は10%後半から20%%台で増加傾向にあるという。
 国交省は8月中旬、都道府県発注工事での低価格受注の深刻さを伺わせるデータを公表した。低入札価格調査制度の運用を通じ、調査基準価格割れの入札を排除した割合などを集計したものだ。
 それによると、都道府県では2010年度に調査基準割れの応札が5211件で発生し、このうち2226件で「数値的な失格基準」などに該当する低入札を排除した。排除率は42・7%となっている。
 具体的に見ると、排除率が40%以上の都道府県は24団体あり、その中で100%に達したところも4団体存在した。逆に20団体は排除率が40%未満。このうち5団体は0%で、まったく排除しなかった。
 数値的な失格基準を設けているのは36団体、未設定は11団体。20団体は総合評価方式などを適用しているが、4団体は失格基準を設けてないばかりか、総合評価も適用していなかった。
 10団体が低入調査制度の運用をWTO以上の大規模案件に絞っている反面、同数の10団体は1億円未満の小規模案件から実施。さらに2団体は全案件を対象にしていた。
 運用範囲の違いや失格基準の有無などで差異はあるものの、これらの内容から見えてくる最大の問題は、都道府県の制度が低価格受注を助長している点だ。
 全体で5割に満たない排除率は、裏を返せば半数以上の低価格受注を認めていることを意味する。デフレで物価が下がり続けているとは言え、官積算が適正だとの前提に立てば、調査基準価格から失格基準までの間に収まる入札金額は、やはり安値だ。
 総合評価などで価格の裏付けを担保しているならいざ知らず、総合評価も失格基準もなければ、建設業者は少ないパイをめぐって激しい価格競争に突き進むし、発注者は建設業者の言い値を是認せざるを得ない。
 それで低価格受注が抱えるさまざまな懸念をクリアにできるだろうか。
 工事は規模が大きいほどコスト面を含めた工夫の余地があると言われるだけに、工夫の余地の少ない小規模案件での運用も見過ごせない。優良な地元業者が弱り果て、災害時の活動はおろか企業経営さえも成り立たなくなる前に、国と違って運用できる最低制限価格制度を再考すべきだ。
 国交省は総務省や財務省とともに8月25日付で、失格基準の積極的な導入・活用や、失格基準の価格を調査基準価格に近づける必要性などを説いた緊急要請を自治体などに出した。都道府県は早急に、低入札価格調査制度の改善に取り組まねばならない。

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