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低価格ありきにNO!と言おう

2017/5/1 

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過当競争によって落札率を下げ建設コストを削減する。それこそが賢い税金の使い方(ワイズスペンディング)だ―。そんな極論に軸足を置いたかのように構築した入札契約制度の試行を前に、小池百合子東京都知事が建設業団体から意見を聞こうとしている。「業界の皆さんから直接話を聞く機会を設け、それを円滑な試行とその後の本格実施につなげる」のが目的だという。
 都政改革本部と都財務局がまとめた入札契約制度改革の実施方針では、第1弾として@予定価格の事後公表AJV結成義務の廃止B1者入札の中止C低入札価格調査制度の運用範囲の拡大―を2017年度に試行することを打ち出している。予定価格の事後公表を除き、試行の対象を財務局が契約する比較的大型の案件に限ることで、中小建設業者に一定の配慮をした格好だ。
 だが、その内容は、入札に参加しやすい環境を整え、競争性を高めながら公共事業の担い手たる建設業の事業継続につなげようとする、都自らが進めてきた取り組みを否定するものだ。
 予定価格の事後公表や入札参加希望者が1者の入札を中止するのは「1者入札による落札率の高止まりを防がなければならない」とか、予定価格に近い金額で落札すること自体が「都民の誤解を招く」という都政改革本部の意見を受けての対応だ。このようなことが、都内工事特有の施工の難易度や技術者の不足といった、不調や1者入札につながる要因の解消よりも重要なことだろうか。
 中小業者への技術移転や入札参加機会の拡大を目的に、大型工事に適用しているJVの結成義務は撤廃し、JVと単体企業のどちらでも参加できる混合入札にする。参加意欲と一定の技術力のある中小業者の参加要件を緩和する方針だが、入札参加の機会は減ると見て間違いないだろう。
 調査基準価格制度の原則化については、社会保険未加入対策を強化し、特別重点調査を失格基準に改めるなど調査マニュアルを改正することで、工事の品質と中長期的な担い手を確保するという。しかし、都政改革本部で「低価格で施工できる業者をなぜ失格にするのか」という議論が何度も交わされたように、その前提は低価格での応札を肯定するものだ。
 不調や1者入札中止の多発による工事の遅れ、行政主導の低価格競争による品質の低下、建設業者の採算性悪化などさまざまな影響が試行前から懸念されている。わずかずつだが成果が出始めた人材の確保・育成の取り組みの足かせともなりかねない。
 都の工事を受注する建設業者はいま、大きな分岐点に立っている。知事との意見交換では、参加する全ての団体がそれぞれの立場から入札契約制度改革の問題点を指摘し、具体的な改善策を示すなど明確に意思表示をする必要がある。インターネットを通じた公開の意見交換は、建設業界が都民にアピールできる場でもあるのだ。知事と笑顔で握手を交わした挙句、「一部の公共事業に遅れが見られるものの、落札率が下がり建設コストを大幅に削減できた。ワイズスペンディングにつながった」―そんなパフォーマンスに付き合わされてはならない。

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