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建滴 人口減少社会と企業価値 社会的責任への決意を示せ

2017/9/19 

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本格的な人口減少社会に突入したわが国にとって、今後20〜30年を見通すと、住宅が供給過多の状況に陥ることが考えられる。住宅の分譲・開発を担うデベロッパーには「パイが減る」現実が待ち受けている。足元の受注競争に目を奪われている経営者は多いものの、本当に重要なのは「将来にわたり企業が存続していくための手立て」を今のうちから練ることではないだろうか。
 そんな中、一部の不動産業ではCSR(企業の社会的責任)を見直し、「企業の価値」を明確化しようとする動きが見られる。ともすれば、芸術・文化支援などで完結しがちなCSR活動を、既存の収益事業の一部に組み込もうとするものだ。
 その一例として、山梨県北杜市の耕作放棄地や荒廃森林を再生する「空と土プロジェクト」が挙げられる。三菱地所グループ社員が山林を開墾・間伐。管理を委託した林業事業者から木材の供給を受け、住宅の建材に使用している。社員研修の場としても活用している。地元のNPO法人と連携し、実現させた取り組みだ。
 社員の家族だけでなく他社の社員らのツアー参加も受け入れ、環境保全に対する意識の啓発につなげている。一方で高齢化や離農などに悩む北杜市民も、再生事業を通して地域の誇りを取り戻す一つの契機になっているという。過疎地が抱える課題を認識し、一緒に解決の糸口を探ろうとする企業の姿は、CSRの優れたモデルの一つだと言えよう。
 残念なことに、このような取り組みを実践している企業はまだほんの一握りにすぎないようだ。それどころか、自社の企業価値を探ろうともしない経営者さえいるという。
 これまでにも、私たちは企業の価値とは何か、考えさせられる場面は幾たびかあった。東日本大震災が発生した際には、企業価値の「解」が富や経済成長の拡大の一翼を担うことだけではないことに改めて気付かされたはずだ。
 復旧・復興のために建設・不動産業はもちろん、多くの企業が人やモノの提供などに奔走してきた。「自分たちに何ができるのか」と自問自答し、行動したことは、企業が社会的存在として覚醒した姿そのものだった。
 震災から6年半が経過した今、本業を通して社会的な課題に直接的に関わろうとする機運が後退した感が否めないのは残念でならない。
 「業績や社会情勢が悪化したら撤退するのではなく、長期にわたり信念を持って取り組まなくてはならない」。これは、「空と土プロジェクト」をキックオフさせる際に、三菱地所の杉山博孝現会長が課した唯一の条件だ。
 株主への責任に加えて、企業としてステークホルダーに対する社会的責任を全うし続けることは並大抵でない。
 ただ、人口減少社会の「住まい」を事業にし続けていく決意があるのであれば、せめて「自社の何に企業の価値を見い出し、どのように社会と関わっていくのか」について、社の内外にビジョンを示すべきだ。さもなければ、適正な企業評価を受けることができないばかりか、企業そのものの存続も難しくなることだろう。

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