県鉄道輸送力増強促進会議・各社の回答(下)
2019/5/13 神奈川
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小田急小田原線の複々線化
神奈川県鉄道輸送力増強促進会議(会長・黒岩祐治県知事)は、2018年度要望に対する鉄道事業者からの回答を公表。小田急電鉄は複々線化の早期実現、東京急行電鉄は神奈川東部方面線の事業推進などに対する考え方を示している。
促進会議は神奈川県と県内33市町村、経済団体(県商工会議所連合会、県商工会連合会)で構成。要望は昨年11月開催の18年度総会で決定したもの。その後、国や各社への要望活動が行われた。
新駅設置、延伸など主な要望項目と各社からの回答は次の通り。
<小田急電鉄>
■複々線化の早期実現
登戸〜向ケ丘遊園間は、代々木上原〜登戸間の複々線機能を最大限に発揮させるために複々線化が必要であると認識。川崎市施行の登戸土地区画整理事業による用地の確保が前提。
向ケ丘遊園〜新百合ケ丘間は、輸送サービスの向上、周辺地域の生活利便性の向上に資する効果的な施策であると認識しているが、莫大な事業費が必要であり、当社単独による整備は事業採算上極めて厳しいと判断している。
新百合ケ丘〜相模大野は、一定の輸送力を確保しているとの認識から計画はない。
■多摩線の相模原市内への延伸の早期実現化
交通政策審議会答申第198号でも意義のあるプロジェクトの一つとして取り上げられた。今後も各自治体や関係者とともに継続して課題の解決に向けて検討・協議。
■多摩線の愛川・厚木方面への延伸
上溝までの延伸について検討が進められているが、建設費・採算性などの課題も多く、上溝から先への延伸に関しては、建設費・採算性などがさらに厳しいものになると認識している。
■海老名駅〜座間駅間の新駅設置
現段階で計画はない。検討を開始する上では、該当自治体が主体となった整合の取れた都市計画の策定、周辺住民の意見集約が前提となる。
<京浜急行電鉄>
■久里浜線の三崎口駅以南への延伸
予測されている大幅な人口減少と高齢化により極めて困難な状況であると判断し、凍結することとした。今後は人口や開発の動向によって検討する。三浦エリアは大変重要なエリアであると認識。昨年11月には城ケ島エリアの観光客増加を目的とした「城ケ島西部地区再整備方針」が決定。城ケ島京急ホテルの建て替えなどで城ケ島エリアのブランド向上と賑わいを創出する。
<東京急行電鉄>
■田園都市線の複々線化
16年4月の交通政策審議会で整備意義が認識された。田園都市線の混雑緩和に有効な、大井町線の活用方策の一つとして検討。
■神奈川東部方面線の事業推進
鉄道・運輸機構が新横浜駅、新綱島駅、日吉駅付近など(一部当社が受託)で工事を進めている。横浜市西部地区、神奈川県央部と東京都心部との速達性の向上や、広域鉄道ネットワークを形成するため、引き続き関係者と連携し、事業を推進していく。
<相模鉄道>
■いずみ野線のツインシティ方面への延伸
「いずみ野線延伸検討協議会」に鉄道事業者の立場で参加。さらなる需要の創出に期待するとともに今後も事業性の確保を大前提として検討を進めていく。自治体においては上下分離方式の導入、道路財源を投入するなど、事業実現に向けた具体的整備手法の確立を進めることをお願いしたい。
■いずみ野線の平塚方面への延伸
鉄道ネットワークの拡充、地域発展への観点から重要課題として認識。事業性確保が大前提だが、これまでと同様に区分延伸していく意思を有している。神奈川東部方面線の開業や、延伸地域の市街化と環境の変化が続く中で、事業収支に見合う需要がどう創出されていくかを見極めた上で、事業化を判断する。
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