新型コロナ感染拡大対策 中小零細に手厚い支援を
2020/3/30
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新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行(パンデミック)が、2008年のリーマンショック以上の打撃を、世界中の、そして日本の社会・経済に与えようとしている。建設業でも住設機器など資機材の調達の遅れ、工期の遅れによる未入金の発生など、経営の大きなダメージとなりかねない状況が生まれている。経済活動の停滞に終わりが見えない今だからこそ、地域経済を下支えしている建設業への、特に中小零細企業への目配りと手厚い支援が必要だ。
建設業団体もリスク回避、低減へと動き始めた。3月19日の自民党国土交通部会では、日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が、経済の減速に伴う民間建設投資の急減に対する懸念を表明。全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)も、民間発注者の倒産による元請け代金の未払いが建設業者の連鎖倒産につながる恐れがある、と訴えた。
サプライチェーンの寸断も深刻だ。中国から部品を調達できず、住宅設備の受注減、停止に追い込まれるメーカーも出てきている。
国土交通省は感染症による工期の延長が、建設工事標準請負契約約款の規定する「不可抗力」に当たるとの解釈を民間発注者に提示しており、工期変更など適切な対応を求めている。竣工の遅れに伴う資金繰りの悪化が、裾野の広い建設業界全体に波及することのないよう、受発注者はともに事態を注視し、即応できるようにしなくてはならない。
景況の悪化の影響を最も受けるのは、経営体力がぜい弱な中小零細企業だ。日本政策金融公庫が発表した全国小企業月次動向調査を見ても、従業員20人未満の建設業の2月の受注額DI(前年同月比で受注の増えた企業の割合から減った企業の割合を引いた値)はマイナス6・5。3月の見通しもマイナス13・6だ。全てが感染症の影響とは言えないが、景況の大幅後退は避けられそうにない。
政府はこの国難とも言える事態に対し、一般保証とは別枠のセーフティネット保証や、さらに別枠の危機関連保証を設定。また、政府系金融機関を通じ、危機対応融資と利子補給制度を組み合わせた実質無利子、無担保の融資による資金供給を行うことを決めている。
信用保証協会への新型コロナウイルス関連の相談件数(3月18日時点)は、東日本大震災やリーマンショック時の実績を上回る勢いで増加傾向にあり、窓口開設から50日で3万件を超えた。政府と国には、保証審査のさらなる迅速化とともに、企業・事業者が必要な手立てを講じられるよう、支援策をていねいに周知してもらいしたい。
雇用環境の悪化も心配だ。建設業界は長年にわたって脱3Kに、そして未来の担い手確保に向けて希望、給与、休日−の「新3K」実現に取り組んできた。経済の混乱を理由に、この流れを後退させることがあってはならない。
国交部会は、この事態の収束後に波及効果の高い公共投資を機動的に推進することを要請している。経済を国内の隅々まで回復軌道に乗せようとしたとき、地域に根差した中小零細企業・事業者の存在が大きく貢献することを、立法府と行政府は忘れないでほしい。
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