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CCUS値上げ要請 誰のため、何のためのシステムか

2020/7/6 

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長年の課題であり、憂いでもある建設業の“担い手不足”。その解決の切り札とも期待される「建設キャリアアップシステム」(CCUS)が、いま重苦しい空気に包まれている。国土交通省は6月下旬に開いた官民の会合で、累積赤字が100憶円に膨らむ見通しを説明するとともに、料金の値上げを要請。利用者側からは、これまでの開発の経緯や運営などへ厳しい意見が相次いでいる。とはいえ、国交省と運営を担う建設業振興基金だけでは、この苦境を乗り越えることは難しい。人材確保が課題となる中で、ここからの後退も現実的ではない。改めるべきは改め、官民が協調して新たな一歩を踏み出すことが必要ではないか。
 CCUSは、技能者の就業履歴や保有資格などの情報を蓄積・評価することで技能者の処遇を改善し、ひいては建設業への人材の入職を促すためのシステム。 2019年4月に本運用が始まったが、技能者登録数は初年度の目標100万人を大きく下回り、6月末で約29万人にとどまっている。事業者登録数も想定には及ばない。登録・利用料も見込みを下回り、逆に開発費や登録に掛かる費用は予定を大幅に超過、ついに国交省による値上げの要請となった。
 これに対して利用者からは、国交省や振興基金への不満の声が上がっている。ある業界関係者は「当初の試算が甘かったのではないか」「現実を見越した要件定義を行うべきだった」などと計画の甘さを指摘する。書類の煩雑さや問い合わせへの対応など、運営面への不満も少なくない。特に技能者登録料の値上げには抵抗感が強く、別の関係者は「ただでさえ技能者登録が進まないのに、値上げによってさらに登録が進まなくなるのではないか」と冷ややかだ。
 担い手不足という現実を前に、建設業界として打てる手は、それほど多くはない。「値上げ要請の前に実施できることがあるのではないか」という声も聞こえてくるが、裏を返せば、「CCUSの理念や目標に異論はないが、利用したいと思うまでには至っていない」ということなのだろう。
 CCUSの現状は、暗中模索が続く中で、どこか袋小路に入り込んでしまったかのようにも見える。登録数が少ないがゆえに、処遇改善へのインパクトに乏しく、給与アップなどのメリットにもつながらない。元請けによるカードリーダーの設置も遅れている。これでは、技能者の登録への機運も盛り上がらない。
 では、突破口はどこにあるのか。国交省などは、技能者のレベルに応じた目標年収の提示やモデル工事の実施、既存制度との連携、手続きの簡素化などを打ち出している。利用者の理解も得ながら、現実に沿った取り組みを進めたいところだ。
 利用者としても、現場の意見を運営側に届けるなど、より使い勝手の良いシステムになるよう積極的にコミットしたい。担い手確保や処遇改善といったCCUSのメリットを人材戦略などの経営に取り込むことも考えられるのではないか。
 国交省は23年度のCCUS完全実施を目指す。道のりは平坦ではないが、共通の目標に向かって官民それぞれにできることがあるはず。改めて“誰のため”の、“何のため”のシステムか、その原点に立ち返るべきだ。

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