建設業でのコロナ感染 命を守る自覚と行動変容を
2021/7/31
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新型コロナウイルス感染の急拡大が止まらない。危機的とも言える状況の中、建設業で感染者が多いと指摘する声も上がっている。全ての国民にワクチン接種の機会が行き渡るまでにはまだ時間がかかる。企業においては、経営者は社員と事業を守るため、社員は家族や職場の仲間を守るため、感染防止の対策と行動をあらためて徹底しなければならない。
建設業での感染の多さについては沖縄県が指摘した。玉城デニー知事が7月26日、県庁で記者会見を開き、「新型コロナの業種別の感染状況を分析すると、飲食業に次いで建設業が多かった」と説明した。理由として玉城知事は、現場でマスクの着用が難しいケースがあることや、従業員が行動を共にする時間が長い場合があることなどを挙げた。そして、建設業界と認識の共有や対策の検討を進めるとともに、エッセンシャルワーカーとして建設業従事者へのワクチン接種の促進を調整する考えを述べた。
業種別の感染状況の分析を沖縄県は、同県内で7月19日〜25日に確認された新規陽性者881人を対象に行った。「会社員」など業種が判別できないケースを除外して分類すると、飲食店の53人が最も多く、建設業が41人、医療・介護が29人で次いだという。
他の地域の建設業の感染状況はどうだろうか。陽性者の職業に関する全国的な調査は行われていない。業種分類を含め職業の把握や公表は自治体の判断に任されている。そこで本紙は、東京都の状況について都の公表データを基に集計してみた。
東京都は2020年10月以降、新規陽性者の属性として性別や年代とともに職業を公表している。7月25日までに公表された17万3558人分の職業について、不明のケースや、会社員や自営業、アルバイトなど業種が判別できないケースを除いて分類すると、飲食業4125人、医療従事者4091人などに対して、建設業は1354人だった。会社員(3万6248人)や自営業(3832人)の中にも相当数の建設業従事者が含まれていると考えられ、建設業の感染者は決して少なくないと推察できる。
本格的な猛暑の時期に入り、建設業の現場では、熱中症対策の観点からもマスクを付けたままでは仕事ができない場面も増えている。ソーシャルディスタンスを確保するとともに、屋内の作業では換気を徹底しなければならない。
体調管理にも十分に気を付ける必要がある。首都圏に住むある罹患経験者は、職場や通勤時をはじめ日常的に感染防止には細心の注意を払っていた。それでも罹患し、家庭内での感染にもつながった。感染経路は分からない。ただ、思い当たる問題点としては、仕事が忙しく、睡眠不足が続き、疲れがたまっていたという。
感染力の強いデルタ株のウイルスによる陽性者も増え、さまざまな場面で感染のリスクが高まっている。この危機的状況を乗り切っていくためには、テレワークなど組織的に可能な対策を徹底して講じるともに、「いつ、どこで感染してもおかしくない」と一人一人が感染の可能性を自覚し、行動を変えていくことが必要だ。
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