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深刻化するインフラの老朽化 健全化の歩みを止めるな

2022/2/21 

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和歌山市で水管橋が崩落してから5カ月。崩落では6万世帯14万人が1週間近く断水の影響を受けた。応急復旧では上流側にある橋梁の車道部を通行止めにしてバイパス管を仮設。現在も通行止めが続いており、迂回(うかい)した車両が近隣の橋に集中し、渋滞を引き起こしているという。本復旧が完了するまであと5カ月ほどかかるそうだ。
 日本のインフラ施設は水道施設に限らず、戦後の経済成長期以降に急速に整備が進んだ。インフラ施設の耐用年数の目安となる、建設から50年以上を経過する施設は今後さらに加速度的に増える。
 国土交通省によると、建設後50年以上のインフラ施設は、2023年に道路橋で4割、トンネルで3割、下水管渠で1割に達する。その後10年で、その割合は道路橋で6割、トンネルで4割、下水管渠で2割を超えるようになる。
 一方、増え続けるインフラの維持管理の需要に対して、技術者の確保は追いついていない。例えば、道路の維持修繕では、10年度から20年度までの10年間に工事量が2・5倍に増えたが、維持修繕に従事する技術者数の伸びは1・2倍にとどまっている。技術者の年齢構成も、10年度に全体の1割ほどだった60歳以上の技術者が、20年度には全体の2割を占めるようになった。
 一方で、10年度に全体の4割を超えていた10〜30歳代の若手技術者の割合が、20年度に2割まで落ち込んだ。
 インフラの管理者である地方自治体の人員や技術、財政面にも不安がある。市町村の土木部門の職員数は、1996年をピークに減り続けている。財政難を理由に維持管理費を含む土木費の割合が減少し続けている自治体も少なくない。老朽化したインフラが増大し続ければ、こうした自治体の予算不足と職員不足がさらに深刻化することに疑いの余地はない。
 和歌山市の水管橋崩落事故の調査委員会は、崩落メカニズムの究明に先立ち、「(点検の)チェック体制を改良する必要がある」と、再発防止に向けた維持管理体制の在り方にも言及した。事前の点検で腐食・破断していたとされる水管橋のつり材の状態が的確に把握できていれば、予防保全により崩落を未然に防ぐことができたと考えたからだ。
 国交省は、予防保全型に転換すれば、事後保全型と比べて維持管理コストを3割削減できると試算している。予防保全に備えた定期点検は19年度に2巡目に入った。多くの自治体では1巡目の点検結果を踏まえた効率的な対策の実施が課題となっている。
 施設管理者に義務付けられているインフラの定期点検は、9人が死亡した中央道笹子トンネルの天井板崩落事故を教訓に制度の運用が始まった。その事故から今年12月で10年が経つ。今回の和歌山市の水管橋崩落事故では、インフラの崩壊が社会機能の停止に直結することが改めて浮き彫りになった。
 さまざまな事故とその犠牲から得た知見を教訓とすることで、より健全なインフラを手にすることができるはずだ。インフラの管理者は、老朽化したインフラの崩壊を未然に防ぐ歩みを止めるべきではない。

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