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誰もが安心して働けるように

2022/5/30 

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いわゆる一人親方などの個人事業者を労働安全衛生法に位置付け、業務上の災害から保護するための具体的な検討を厚生労働省がスタートした。「雇用されている労働者」を主眼に置いてきた労働安全衛生行政の大きな転換点と言える。実態として、建設現場は多くの一人親方を含めて成り立っている。立場の違いによって法による保護の網の目から漏れることのないよう、徹底した議論が必要だ。
 5月13日に専門家などによる検討会を立ち上げた。直接の発端は、昨年5月に最高裁が示した建設アスベスト訴訟の判決だ。一人親方を含む屋内建設作業者が石綿に暴露して健康被害を受けたことに対し、適切な規制を行わなかった国の責任が認められた。
 これを受けて厚労省は、石綿の除去作業をはじめ、労働者に対して健康障害防止のための措置が義務付けられている「危険有害な作業」を行う際に、作業を請け負わせる一人親方や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人にも一定の保護措置を義務付ける省令を公布した。石綿の飛散は労働者にとっても一人親方にとっても危険であり、同様に保護すべきという最高裁判決の考え方を反映した。
 労働安全衛生規則の改正で追加されたこれらの措置義務は、一人親方などと直接の契約関係にある元請け、上位下請けなどの事業者に課される。指揮命令権がないため、適正な作業方法や保護具の使用については「周知」、有害物への注意喚起は「掲示」という形を取ることになる。
 今回の検討会では、機械や電気などの危険性に対する一人親方の保護の在り方も議論するとともに、保護措置の実効性を担保する仕組みも検討していく。
 現行制度でも、発注者には指定した施工方法に対する注文者責任、元請けには建設現場全体の労災を防止する統括安全衛生管理の責任が求められている。一人親方に適正な作業を確実に行わせるようにするには、発注者や元請けが果たすべき役割、責任についてより踏み込んだ議論が必要だ。
 検討会では、安全に関する意識が不十分な一人親方の存在を指摘する意見もあった。経営基盤や体制がぜい弱である一人親方に対して、公的な支援などの対策が必要なのではないか。
 また、被災した一人親方の3〜4割は元請けとして自ら仕事を受注しているというデータもある。一人親方が自らリスクアセスメントや安全に関する知識の習得に取り組むように促す仕組みも考えなくてはならない。
 検討会に参加したある元請けの事業者団体は「労働者も一人親方も同様に無事に帰ってもらうことが、ビジネス以前の大事なこと」との声を寄せた。厚労省は契約関係に着目した責任や義務の整理、規定の充実だけでなく、どうすれば災害を減らせるかという実質的な観点からも、有効な対策を導き出してほしい。
 今年は安衛法の施行から50年に当たる。この間、建設労働者の死亡災害の発生数は年間2000人超から300人未満へと大幅に減少した。これに対し、一人親方の被災数については、正確な統計すら整備されていないのが現状だ。今こそ、実態を明らかにし、誰もが安心して働ける職場環境を実現する時だ。

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