物価異変A 生コンの価格転嫁
2022/6/1
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全国生コンクリート工業組合連合会・同協同組合連合会の吉野友康会長は、4月の会見で「原料の大幅な値上げを踏まえた価格転嫁」を重点課題に挙げた。注目を集めるのが、最大の需要地である首都圏だ。東京地区生コンクリート協同組合(東京生協)はきょう6月1日から、生コン価格を1立方b当たり3000円値上げする。骨材や人件費、輸送コストなど「あらゆる面で値上げ圧力がかかっている」(斎藤昇一理事長)という状況への理解を建設企業に訴え、登録販売店を通じて粘り強く交渉する構えだ。
値上げの最大の要因は、大手セメントメーカーが1月以降、相次いで値上げを打ち出したこと。さらに原油価格の高騰が生コンの配送や骨材の輸送コストに響いた。東京生協では2020年にも1立方b当たり1000円の値上げを実施していたが、さまざまなコストアップに対応する中で、値上げ分の実入りは既に吸収されてしまったという。
6月の値上げを見越した駆け込み需要もあり、東京生協が抱える契約残数量(3月実績)は前年同月比68・5%増の616万立方bに達した。大規模プロジェクトを多数抱える東京地区では、納入の期間が長期にわたる現場も多い。さらなるコストアップが見込まれる状況では、既契約分が将来の負担になりかねない。
このため東京生協では、契約済みの生コンについても、登録販売店を通じて数百円単位での値上げに理解を求めていく。既契約分に対する値上げ交渉は初めての取り組みとなる。工期が36カ月を超えるような工事では、契約から24カ月がたった場合に残りの生コンを最新の価格に見直すルールの運用も徹底する。
契約時の価格と出荷時のコストの乖離(かいり)は永遠のテーマだ。斉藤理事長はあくまで私案として、出荷時点の価格をベースとするような契約方式にも言及した。
建設企業との価格交渉や購買契約は登録販売店などの流通業者が担う。全国生コンクリート卸協同組合連合会によると、建設企業からの代金回収が手形100%払いである割合は21年度時点で37・1%で、漸減しているとはいえ大きな割合を占めている。
政府は26年をめどとした約束手形の利用廃止を打ち出しており、今後は価格交渉と取引慣行の見直しが並行して進むことになる。
製造から打設までの時間が定められているため、製造工場は地域ごとに立地せざるを得ない。業績は地域内の工事動向に左右され、資金余力の乏しい企業も少なくない。適切な価格の転嫁は、生コンの安定的な品質と供給体制を確保する上でも欠かせない。
とはいえ、買い手である建設企業側からすれば、大幅な値上げが負担となることは間違いない。コストアップ分を発注者にどれほど転嫁できるのか、難しい対応を迫られることになりそうだ。
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