Catch-up 残業60時間超 中小も賃金5割増
2023/4/21
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賃金の割増率が、時間外労働の長さに応じて引き上げられるようになる
この4月から、中小企業においても1カ月60時間を超える時間外労働に対し、通常よりも50%増の賃金を支払わなければならなくなる。大企業には10年以上前から適用されていたが、中小企業は「当分の間」猶予することとされてきた。ここにきて適用されるようになったのは、政府による企業の「働き方改革」促進施策の一環だ。来年4月からは、時間外労働の罰則付き上限規制も建設業に適用される。中小建設業は、働き方を見直す“本気度”が問われることとなる。
今年3月31日までは、時間外労働が月60時間超か否かを問わず、賃金の割増率は25%だった。4月1日以降の時間外労働については、60時間以下まで割増率25%、60時間超からは50%となる。さらに、60時間超の時間外労働を深夜(22時〜5時)に行わせる場合、深夜割増しの25%を加えて75%増の賃金を支払わなくてはならない。
このとき基準となる賃金は、所定時間内の労働に対して支払われる1時間当たりの賃金額だ。月給制の場合、各種手当を含めた月給を1カ月の所定労働時間で除したものが、1時間当たりの賃金のベースとなる。ただし、ここから▽家族手当▽通勤手当−など一部の手当は除外できる。
また、月60時間を超える時間外労働に対し、割増賃金を支払う代わりに有給休暇を付与することも可能だ。
ただ、就業規則が未整備だったり、そもそも労働時間を正確に把握できていなかったりする企業も少なくない。労働安全衛生総合研究所によると、建設業で労働時間を把握する際、出勤簿やタイムカードなど客観的な手段を用いる例が多かったが、「労働者本人の自己申告」も4割近くに上ったという。
こうした企業に対し、厚生労働省は働き方改革推進支援助成金の活用を促している。就業規則の作成・変更や、勤怠管理システムなどの労務管理用ソフトウエアの導入費用に充てることができる。
2021年度に賃金不払い残業で労働基準監督署の指導を受け、100万円以上の割増賃金を支払った建設業は146社に上った。この4月から、賃金不払い残業がさらに増えることのないよう、一層の注意が必要だ。
来年4月には、残業時間の罰則付き上限規制が建設業に適用される。人手不足が深刻化する中で、さらなる規制が受注の制約となることを危惧する声も聞かれる。しかし、ここで働き方を変えなくては、建設業界と他産業との労働条件の格差がさらに開くことになりかねない。
建設業の長時間労働は、短工期での依頼など、発注者側に起因する側面も大きい。時間外労働に対する賃金割増率の引き上げを契機として、適正工期の確保に向けた議論が一層進むことが期待される。
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