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電子化2.0@ デジタル化は上流から

2024/11/8 

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建設業では産業特性によって、デジタル化が進みにくいと言われている。紙媒体で管理された図面や書類をデータ化しても、重層下請け構造のこの産業では、サプライチェーンにある全ての企業に電子データが流通しない。下請けの次数が高い小規模な企業であるほど、投資余力やデジタル人材も少ない。適正な品質とコスト、安全な工程を証明するための書類がデジタル化されず、技術者の働き方改革の障壁になっている。
 1990年代、旧建設省は紙で交換していた情報を電子化し、インターネットを介して情報共有することで、公共事業の生産性向上とコスト縮減を実現する「CALS/EC」(公共事業支援統合情報システム)を打ち出した。
 当時、CALS/ECの目標とされたのは「入札契約手続きの書類を完全電子化する」「建設生産システムの全フェーズでの電子データシステムの構築」など。これらの方針を踏まえ、直轄工事では、電子入札が導入され、入札情報サービス(PPI)で入札情報が公表されるようになった。2020年度には電子契約も本格導入された。
 一方、地方自治体、特に市区町村では、CALS/ECから20年以上たった今も、国・都道府県に比べ、電子化が進んでいない。総務省の2022年度の調査結果によると、建設工事の電子入札を導入している市区町村は44・7%、入札情報をインターネットで公開している市区町村は41・8%となり、いずれも半数以下にとどまった=グラフ参照。
 電子契約も、ようやく導入が始まったばかり。都道府県・政令市は、独自システムの構築に比べて安価なクラウド型の電子契約サービスを導入しはじめたが、市区町村への浸透にはまだまだ時間が掛かる。
 時間外労働の上限規制が適用され、人手不足が慢性化している中小建設業は、施工だけにとらわれず、あらゆる仕事をデジタル化によって効率化する必要がある。ただ、サプライチェーンの最上流にいる発注者のデジタル化が進まなければ、デジタル人材や投資余力の少ない中小建設業が、デジタル化を完結することはできない。
◇  ◇  ◇
 今年6月に成立した改正品確法の基本方針や、運用指針には、公共工事の発注者に新たに電子化の推進が求められる見通しです。電子入札や電子契約、情報共有システム(ASP)は、発注者から元請け、下請けへと一貫して導入されることによってその効果がさらに大きいものになります。
コロナ禍を経て再び動き出した公共工事の電子化の動きを連載します(毎週金曜掲載)。

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