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常識を壊す 美しく壊す ベステラの吉野氏

2016/12/2 東京

ベステラ 吉野佳秀社長
ベステラ 吉野佳秀社長

建築物の「美しさ」を重視する建設企業は少なくないが、ベステラ(墨田区)は解体工事において「美しさ」を追求する。ロボットを駆使して巨大な球形プラントをリンゴの皮をむくかのように解体する「リンゴ皮むき工法」を開発。プラントメーカーが独占していたプラント解体市場に参入し「建設と解体は異なる」という考え方に基づき営業を展開した結果、今ではプラントメーカーを介さずに直接仕事を受注しているという。常識を覆し、新たな領域を開拓する同社の吉野佳秀社長に今後の課題や対策、将来的な戦略について聞いた。
 ―画期的なプラント解体手法が生まれた経緯は。
 「今、アメリカで実力のある企業はグーグルやアップルなどが挙げられるが、これまでの企業とは異なり、『新たな仕組み』をつくることで成功している。これまで以上に、知恵が必要になってきているということだ。われわれも工場や機械などを捨て去り、知恵で勝負する道を選択した」
 「建設する側の企業は、地球の大きな引力に負けないために強い建物を造る。しかし、どんなに丈夫な建物でも40〜50年経てば劣化する。そこで、造った企業が再登場して解体することになるのだが、造った企業が壊す時のことを想定していたかというとそこは疑問が残る。さらに言うと、壊すことができるとも限らない。造った人は造った時と逆をやればいいと思い込んでしまう」
 「われわれは『壊す人の窓』から物事を見る。これまでの足場を作り、クレーンを使う従来のやり方を一回やめてみる。その上で『より早く、より安く、より安全に』できる方法を追求した結果、造る時に敵だった地球の大きな引力を味方につける手法が生まれた」
 ―今後の課題と対策について。
 「建設投資額の推移を分析すると、今後30年で建設後に50年を経過する施設の割合が加速度的に増加する。プラントでは同様に老朽化が進むとともに、産業競争力強化のため企業再編や海外移転が増え、解体需要も拡大する。課題として捉えているのは、老朽化した設備を把握できなくなっているプラント企業が存在すること。顧客の課題を自社の課題として認識し、これまで実施してきた事業を上流にさかのぼり、施設全体の把握・管理に役立つサービスとして『3D計測事業』を展開している」
 ―さらなる躍進に向けた戦略について。
 「事業領域で3本柱を確立しようと考えている。『プラント解体事業』を軸に、その周辺事業として『人材サービス事業』と『3D計測事業』を強化し、プラント解体トータルマネジメントを提供する。さらに現在、京都大学、山口大学、国際レスキューシステム研究機構と共同で自律行動ロボットの研究開発を進めている。3D点群マップを基盤に閉鎖空間で自動プラント監視を実現させる計画だ。また、解体シミュレーションデータをプロミラミングし、アタッチメントを装着したロボットに自律的に解体施工させる活用方法も視野に入れている」(工藤守) 
 【略歴】高校卒業後、家業である個人商店を継ぐ。1974年に法人化しベステラを設立。現在まで社長として経営に携わる。41年生まれ、75歳。趣味は写真、ゴルフ、マラソンなど。


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