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テコレップシステム

超高層ビルの解体 ゼネコン各社の技術を追う


2012/1/1建通新聞東京掲載



外景



 



テレコップシステム 大成建設

環境対策を重視して大成建設が開発した「テコレップシスム」。解体するビルの屋根を有効利用し、建物内部に配置したジャッキ内蔵の仮設支柱と養生足場で閉鎖型仮設システムを構築する。屋内≠ナ作業を進めることで、騒音や粉じんの飛散を極力防ぐ工法だ。2011年には、東京駅前にあった高さ約105bの大手町フィナンシャルセンター解体に初導入した。その経験をフルに生かし、5月には西武プロパティーズが進める千代田区・紀尾井町南地区開発に伴う、旧グランドプリンスホテル赤坂(高さ約138b)の解体工事に挑む。



 


解体建物の屋根を有効利用 騒音や粉じん飛散を極力防止


テコレップシステム施工中の丸の内1−4計画(2011年7月撮影)



 大手町フィナンシャルセンター解体時には、計12本の仮設支柱を設置。また養生足場は高さ約20b×幅約9bのユニット(基準サイズ)を、左右に計24ユニットつなぎ合わせた。安全性を考慮して、内側に補強を施した。落下防止装置は作業階下と最下段へ二重にセット。屋根はスラブなどを取り去り、折板を張って軽量化も図った。



システムの天井には複数の走行クレーンを設置。クレーンは交差するレールを乗り越えて、作業フロア全体を効率よく移動し解体材を運搬する。また、外壁を解体する時は建物の外までアームを突き出し、外壁を垂直に吊り上げ、内部へ水平に引き込むことができる。

集めた解体材は、垂直搬送用のクレーン(テルハ)で床に設けた開口部から地上へ吊り下ろす。テルハには回生ブレーキを応用した発電システムが付いており、解体材を下ろす時に発電・蓄電する。電力はクレーンの巻き上げや、建物内の照明に利用する。

1フロアの解体が終了した段階で、仮設支柱に内蔵した油圧ジャッキを作動させ、システム全体を一体的に降下させる。2時間当たり4bの速度で支柱を下ろした後、別フロアへ荷重を乗せ替えて、次のフロアの解体作業に移る。



閉鎖型仮設システムのメリットは、周辺環境への負荷を大幅に低減できる点にある。大手町の現場では落下物ゼロはもちろん、屋根開放型と比較して粉じん飛散量の低減率が50%以上、騒音防止効果は20dB以上あった。

さらに、高所に見られる強風や雨といった天候の影響を受けにくく、確実な工程管理が見込める。

その性能や工期縮減・コストパフォーマンスは、特に150b以上の建物で威力を発揮するという。今後は粉じん飛散ゼロ、騒音の40dBカット、消費電力量の30%減などを目標にシステムの改良を進める。




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