大手町フィナンシャルセンター解体時には、計12本の仮設支柱を設置。また養生足場は高さ約20b×幅約9bのユニット(基準サイズ)を、左右に計24ユニットつなぎ合わせた。安全性を考慮して、内側に補強を施した。落下防止装置は作業階下と最下段へ二重にセット。屋根はスラブなどを取り去り、折板を張って軽量化も図った。
システムの天井には複数の走行クレーンを設置。クレーンは交差するレールを乗り越えて、作業フロア全体を効率よく移動し解体材を運搬する。また、外壁を解体する時は建物の外までアームを突き出し、外壁を垂直に吊り上げ、内部へ水平に引き込むことができる。
集めた解体材は、垂直搬送用のクレーン(テルハ)で床に設けた開口部から地上へ吊り下ろす。テルハには回生ブレーキを応用した発電システムが付いており、解体材を下ろす時に発電・蓄電する。電力はクレーンの巻き上げや、建物内の照明に利用する。
1フロアの解体が終了した段階で、仮設支柱に内蔵した油圧ジャッキを作動させ、システム全体を一体的に降下させる。2時間当たり4bの速度で支柱を下ろした後、別フロアへ荷重を乗せ替えて、次のフロアの解体作業に移る。
閉鎖型仮設システムのメリットは、周辺環境への負荷を大幅に低減できる点にある。大手町の現場では落下物ゼロはもちろん、屋根開放型と比較して粉じん飛散量の低減率が50%以上、騒音防止効果は20dB以上あった。
さらに、高所に見られる強風や雨といった天候の影響を受けにくく、確実な工程管理が見込める。
その性能や工期縮減・コストパフォーマンスは、特に150b以上の建物で威力を発揮するという。今後は粉じん飛散ゼロ、騒音の40dBカット、消費電力量の30%減などを目標にシステムの改良を進める。