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鹿島カットアンドダウン工法

超高層ビルの解体 ゼネコン各社の技術を追う


2012/1/1建通新聞東京掲載



旧本社ビル解体現場。施工中も周囲に足場や養生は見られない




鹿島カットアンドダウン工法 鹿島

鹿島の「鹿島カットアンドダウン工法」は、地上付近の柱を切断し、ジャッキを使って徐々に建物を降下させる。だるま落とし≠フようにビルを下から解体する工法だ。

2008年に同工法を採用した旧本社ビル2棟の解体では、合計44台の特製油圧ジャッキを使用。1階における柱の切断・ジャッキダウンと、2階での躯体解体を並行して進める。高所作業をなくしたことで安全性は格段に向上した。







ビルを下から解体する「だるま落とし」工法




柱を切り出しジャッキを伸ばす



全てのジャッキを一斉に降下




 建物を降下させるジャッキは、1階の柱脚部分に設置する。鉄骨柱を1回に約70a切り出し、隙間にジャッキを伸ばして躯体を支持しながら、別の柱も順番に切断していく。全ての柱で切り出しを終えた段階で、伸びたジャッキを一斉に降下。各ジャッキは光ファイバーで接続したコンピューターによる自動制御で水平を保ちながら、15分掛けて慎重に降下する。これを5回繰り返すことで、1フロア分のジャッキダウンが完了する仕組みだ。



一方、水平方向の耐性補強として、建物内部にコアウォール≠ニ呼ばれる鉄筋コンクリート製の巨大なBOXを建設する。柱と梁に囲まれた1スパンの内側を貫くように、地下1階から地上3階の範囲に設置し、下方にスライドする建物が左右にずれないようガイドの役割を果たす。静止時には、コアウォールと梁の間に、くさび型のストッパーを差し込んで既存躯体との一体性を高める。さらに、気象庁の緊急地震速報を利用して現場への揺れの到達時間や震度情報をより正確に伝える早期地震警報システムを導入し、万一の地震にも万全を期す。

建物が密集する都市部における高層ビルの解体工事では、周辺環境への配慮も重要となる。同工法では、解体作業のエリアを下層部に限定し、かつ既存の外壁をジャッキダウンの直前まで残して遮断することで、防音パネルなど養生の設置を省略することが可能なほど、騒音や粉じん飛散の抑制に秀でた現場を実現した。



油圧ジャッキは今後、同工法を採用する際に再利用することで、大幅なコスト低減が見込める。ジャッキとコアウォールの組み合わせにより、「国内の超高層ビルには、ほぼ対応できる」(広報担当)という。




 


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