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シミズ・リバース・コンストラクション工法

超高層ビルの解体 ゼネコン各社の技術を追う


2011/1/1建通新聞東京掲載



シミズ・リバース・コンストラクション工法




旧本社ビル解体現場・施工中のが外観は建設工事と変わらない



 新築工事の工程をタイムマシンでさかのぼる―。清水建設の「シミズ・リバース・コンストラクション工法」は、建設工事の手順を逆に踏むように解体を進めていく。高層ビルの上部から、躯体をブロック単位に切断し、タワークレーンで吊り下ろす。

一連の工程に用いる機材は、普段から建設現場で採用しているものばかり。作業の信頼性や安全性が高いことに加え、工事にかかるコストが計算しやすいというメリットもある。

中央区京橋2丁目で施工中の本社建て替えプロジェクトで2009年、旧本社ビルを解体する際に採用した。





解体に先立ち、内装や設備の撤去を上層から始め、躯体をほぼ完全なスケルトン状態に戻した。また、タワークレーンを建設当時と同じように、建物中央の吹き抜け部分に取り付けた。

床面には、スラブの撤去作業に備えて規則的なコア(穴)を開けてクレーンで吊り、切断には道路カッターを使用した。梁は、階下から高所作業車などを利用してガス溶断する。CFT柱は、接する梁や外壁PC板とまとめて1つのブロックとして切断。建物の脇に設けた圧砕・分別ヤードへ吊り下ろした後に分別した。こうして最上階での作業が進む一方、階下では次の作業を先取りして、コア抜きやスラブの切断が始まっている。タワークレーンを囲むように、反時計回りに工程を連続して進めることで、1フロアを最短6日で解体した。こうした工程は、新築時の図面を基に3次元データを作成し、詳細な検討を積み重ねて練り上げたという。



足場は、施工階周辺のみに設置するスライドユニット足場を採用した。外壁に設けた開口部にブラケットを取り付け、支持材を差し込んで足場を固定する。1段階吊り下ろす際には、ユニットを縦に走るガイドレールを、階下に突出させたブラケットに滑り込ませてスライド降下させる。

「どんな高さや形状であっても、建設工事の工程をさかのぼることで、解体できない建物はないはず」(現場関係者)。同工法は現場の環境や建物の状況に応じ、既存技術を巧みに組み合わせて建設工事を逆転≠ウせるという概念そのものだ。




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