公共工事の約款改正 受注者意見踏まえ対等協議 不利益取扱の禁止で事務連絡

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 国土交通省はきょう12月10日、公共工事標準請負契約約款の改正を受け、公共発注者と建設業団体に対し、受発注者で対等なパートナーシップに基づく請負代金額や工期の変更協議を行うよう求める事務連絡を発出する。公共発注者に対し、受注者の意見を踏まえた協議や、協議が整わないことを理由とした不利益取扱いを禁止する規定について周知徹底する。  公共工事標準請負契約約款では従来から、施工条件が異なっていた場合などに請負代金額・工期の変更を受発注者協議で決めると規定。ただし、契約変更に際して受発注者間の協議が一定期間にわたって整わない場合、発注者が変更額・工期を定め、受注者に通知することとしている。受注者が不服な場合は、建設業法に基づくあっせんや調停といった紛争処理のプロセスに進む必要がある。  こうした規定は、公益に関わり、工事の円滑な実施が求められる公共事業の特性を踏まえたもの。ただ、建設業界では、受注者側が弱い立場に置かれているとし、発注者側への異議申し立てが困難だとの受け止めが根強い。建設業法改正を議論した2024年の国会審議でも、請負代金額の変更協議を円滑化するため、公共工事標準請負契約約款の改正を求める意見が出ていた。  今回の約款改正では、請負代金額や工期の変更に当たり、受注者からの意見を踏まえ、「十分な協議を行うよう留意する」ことを盛り込んだ。協議が整わなかったり、あっせんや調停を求めたことをもって受注者に不利益な取り扱いを行ってはならないことも明確化した。  国交省は今回の改正内容について、公共発注者として「取るべき姿勢やスタンス」を明確化したものだとしている。契約変更や紛争処理手続きを行う受注者の懸念を解消し、受発注者が対等な立場で変更協議を行えるようにする狙いがある。  ただし、今回の約款改正では、協議が整わないときに発注者が変更額などを定めて受注者に通知するとの規定は残されている。国交省は、発注者として許容できる変更額を通知することでいったん安定して工事を進められる状態を確保するという制度の趣旨や、協議が整わなくとも一定の増額・工期延長を受けられるというメリットについて、事務連絡を通じて改めて理解を求める。  今後、改正建設業法の全面施行に伴って全国で開く受発注者向けの説明会などでも、建設工事標準請負契約約款の改正内容について周知する。受発注者の協議状況についても継続的に注視していく考えだ。