公共建築積算基準に「単位施工単価」 鉄筋・型枠で労務費を可視化
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国土交通省は、第3次担い手3法に基づく「労務費の基準」が勧告されたことを受け、公共建築工事積算基準類を改定した。これまでの材工一式の市場単価に代わり、労務費・材料費の内訳を把握することが可能な「単位施工単価」を新たに導入。初弾として、鉄筋と型枠の単価に使用する。2026年1月以降に入札手続きを開始する直轄営繕工事から適用する。
適用に向け、12月10日付で各地方整備局などに通知した。同日、都道府県・政令市の担当部局長にも総務省との連名で通知。管内の市区町村にも周知するよう求めた。
第3次担い手3法では、労務費に相場観を示す「労務費の基準」を設け、内訳明示した見積もりの努力義務化により材料費などのしわ寄せや、累次にわたる下請けに伴う目減りを防ぐ。公共工事では、入札前の見積書や入札金額内訳書の作成時の記載事項として労務費を明確化し、基準に照らして著しく低い労務費での見積もり・契約を禁じる。
しかし、公共建築工事で使用されている市場単価は労務費や材料費、機械器具費、下請け経費などが一式となっており、内訳が把握できない。そこで、国交省は専門工事業者の協力を得て歩掛調査を実施。今回、新たに労務費の内訳を把握可能な新たな積算単価として単位施工単価を公共建築工事標準単価積算基準に位置付けた。
まず、工種ごとに代表的な規格・仕様を想定した「ベース単価」を設定する。労務費については地域ごとの公共工事設計労務単価に労務歩掛を、材料費は材料単価に材料歩掛を乗じて算出。機械器具経費、下請け経費と積み上げて算定する。これにより、公共工事設計労務単価と同じ水準の労務費が確保されていることを明確化する。
その他の規格・仕様については、元請け・下請け間の取引の調査結果を活用してベース単価を調整した「シフト単価」を使用する。
今回、鉄筋(ガス溶接含む)と型枠について単位施工単価を導入した。現在、市場単価を適用している他の工種についても順次、調査・分析を行っており、準備が整った工種から導入する考えだ。
これらの単価の整備に伴い、物価資料での記載も見直される。直轄の営繕工事の他、自治体工事などでも活用されている積算システム「RIBC」も改修する。
今回導入する工種の単位施工単価は、従来の市場単価と比べて高くなることも見込まれる。直轄営繕工事では、積算時に市場単価を用いた工種について、積算基準の改定後にスライド条項を適用する際は、単位施工単価を用いて変動後の単価を算定するとしている。
基準類の改定ではこの他、発注側が用いる公共建築工事内訳書標準書式と、受注側の見積標準書式を改定した。それぞれ、労務費や材料費の記載欄を追加している。見積標準書式では、労務費、材料費とともに安全衛生経費についても可能であれば記載することとした。
合わせて公共建築工事積算基準等資料を改訂し、基準類の詳細な運用についても追記している。
