建設業法違反の通報窓口拡充 建設Gメンの取締りに活用

中央
 国土交通省は12月15日、建設業法違反の通報を受け付ける「駆け込みホットライン」の機能を大幅に拡充した。改正建設業法に基づき、適正な労務費の見積もりと支払いを求める新たな取引ルールを徹底するため、従来の電話対応に加えて情報収集フォームなどオンラインでの対応を強化。収集可能な情報を質と量の両面で強化し、建設Gメンによる調査や行政指導の参考に活用する。  改正法では、建設業者に労務費などを内訳明示した見積書を作成する義務を課し、「労務費の基準」に照らして著しく低い労務費による見積もり・見積もり依頼を禁止する。従来より規制の幅が広がったことで、多様な通報に対応する必要がある。  既存の駆け込みホットラインへの通報は年間2000件程度。通報すると、最寄りの地方整備局の建設業法令順守本部につながる。法令違反の疑いがある情報が寄せられれば、建設Gメンが立ち入り検査を実施し、必要に応じて監督処分を行う。  電話を使用するハードルは通報者にとって高く、受け付けが可能な時間帯も限られる。通報対象の建設業者が大臣許可か知事許可かによって通報先が異なる他、労働時間や安全衛生など他省庁が対応すべき相談が寄せられることも少なくないという。  そこで、建設業の法令順守に関する情報窓口としてポータルサイトを新設した。違反事例やよくある質問と回答といった情報を集約し、通報前にどのような事例が建設業法違反に該当するか確認できるようにする。  サイトからは、オンラインの「建設業相談窓口ナビ」へと誘導。簡易な質問に答えることで通報・相談先を確認できるようにし、通報を効率化する。契約書を交付しなかったり、見積書に記載した労務費を一方的に減額する建設業法違反、元下間の支払いトラブルや施工不良など代表的な事例を整理し、その内容に応じてウェブ上の通報フォームを利用したり、都道府県の建設業許可部局に連絡するよう促す。  電話に代わる通報手段として、情報収集フォームも開設した。電話と異なり、時間や場所を問わずにスマートフォンなどから建設業法違反が疑われる取引の情報を提供できるようにする。通報内容は電話と同様、建設Gメンが事業者を指導・監督に動くか判断する参考情報などとして活用する。  試験的に電話の自動応答サービスも導入。ホットラインに通報すると、いったん自動音声とプッシュダイヤルにより、適切な相談窓口を案内する。継続して利用するかは、効果を検証して判断する。  今後、改正法に基づく監督・指導状況をフォローアップする。法違反の類型をまとめ、建設業者の参考とすることも考えている。