〝緊要〟な支出に補正予算 当初予算ではダメなの?

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このコーナーでは、ベテランたぬき記者の「ぽんせつ先生」が、知りたがりの九官鳥「キューメット」の質問に答えます(Q=キューメット、P=ぽんせつ先生)。 Q.「補正予算」が組まれたんでしょ? P.政府の2025年度補正予算案は一般会計の歳出総額を18・3兆円とする大型補正予算になりました。 Q.そもそも補正予算って何なの? P.財政法では、「予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊要となった経費の支出または債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合」に編成するとされています。 Q.分からないよ!! P.つまり、当初予算の成立後、年度内に緊急に予算が必要になったら、補正予算を編成してもいいですよ、ということですね。 Q.最初からそう言えばいいじゃない。今年も緊急で予算が必要になったってこと? P.今回の補正予算の柱は物価高への対応です。電気・ガス代の支援や子育て応援手当などの費用を計上しています。これらと並び、国土強靱化も柱の一つです。キューメットは「国土強靱化実施中期計画」のことは覚えていますか?計画の初年度分の事業費も計上されているんだよ。 Q.「20兆円強」でしょ!覚えてるよ。でも、計画してた事業なのに緊急に予算が必要なの? P.25年度に終了する「5か年加速化対策」でも、補正予算に事業費を計上しています。キューメットの言う通り、あらかじめ計画している事業であれば、当初予算で措置すべきだという指摘は以前からあります。 Q.お金に変わりはないでしょ。どっちについてもいいじゃん。 P.必ずしもそうではありません。補正予算は秋の臨時国会で成立するため、実際には年度末までに全てを執行できず、翌年度に繰り越されるものが大半です。着工から完成までに時間が掛かる公共事業予算も、大半は翌年度に繰り越されます。ただ、翌々年度への2回目の繰り越しは「事故繰り越し」といってハードルが高く、短工期を強いられる恐れもあります。 Q.それでも補正予算なのはナゼ? P.財務省は当初予算で増額した公共事業費が固定化されることを嫌がり、減額しやすい補正予算に事業費を計上しています。国土強靱化でも、最初の「3か年緊急対策」では当初予算に事業費を計上していましたが、これを「臨時・特別の措置」と位置付け、事業終了後は補正予算への計上に切り替えました。 Q.ふーん。また財務省か… P.ただ、近年の補正予算は大型化が進んでいます。高市内閣も「歳出構造の平時化」を目指し、当初予算と補正予算の在り方を検討するとしています。年内に決定する26年度当初予算案では、公共事業費の積み増しがあるのではないか、という期待もあります。