民間七会連合約款を改正 適正な労務費、契約時に約束

中央
 民間(七会)連合協定工事請負契約約款委員会(古阪秀三委員長)は、民間(七会)連合協定工事請負契約約款と契約書関係書式を改正した。改正建設業法の施行に伴い、中央建設業審議会(中建審)が勧告した標準請負契約約款に倣い、労務費・賃金の支払いに関する「コミットメント条項」や、資材価格上昇に伴う契約変更協議に関する条項を追加。合わせて、受注者・発注者間で迷惑行為があった場合、書面で必要な措置を請求できる条項も新設した。  民間連合協定の約款は、▽日本建築学会▽日本建築協会▽日本建築家協会▽全国建設業協会▽日本建設業連合会▽日本建築士会連合会▽日本建築士事務所協会連合会―の7団体でつくる委員会が作成する民間建築工事の契約書のひな形。  国土交通省が行った調査によると、建設工事の受注者のうち、17・7%が民間連合協定の約款を使用。年間頒布数は15万部に上る。完工高30億円以上の企業になると、中建審約款よりも使用する企業の割合が高くなる。  今回の改正では、改正建設業法の労務費の基準の運用開始に伴い、請負代金内訳書の項目に「材料費」「労務費」「安全衛生経費」「建退共掛金」を追加した。  受注者が注文者に対し、適正な賃金の支払いを約束する「コミットメント条項」は、中建審約款で選択制とされた。民間連合協定約款では、発注者・元請け間、元請け・1次下請け間など、直接の契約関係にある者との間で適正な賃金支払を約する条文を選択した。  現場の実態を踏まえ、より簡易に適正な賃金支払に対応できる条文を選択した。  改正建設業法の関連では、資材価格が高騰した際の請負代金額の変更について「主要な資材の供給の著しい減少」「協議の開始の遅延」「近隣住民との紛争」などのケースを明記し、受注者が協議を申し出ることができるとした。  このほか、民間連合約款の独自の規定として、受発注者双方の迷惑行為(カスハラ、パワハラなど)に対する措置要求を追加。受発注者の従業員らの間で、正当な理由がない過度な要求、暴言、社会通念上許容される範囲を越えた言動などがあった場合、必要な措置を書面で請求できるようにした。