育成環境強みに外国人材確保 地域社会の一員として共生を 建設技能人材機構 専務理事 岡本裕豪氏

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 建設技能人材機構(JAC)の専務理事に就任した岡本裕豪氏が建設専門紙の共同インタビューに応じ、「人材を育てる環境こそ、これからの日本の建設業の強みにしないといけない」と述べた。育成就労制度の2027年度スタートを見据え、中長期のキャリア形成を重視。地域社会の一員として外国人材が溶け込めるよう、日本語や生活習慣を身に付ける機会を提供する。  技能実習の後継となる育成就労制度は、人手不足分野の人材確保という性格を明確化し、特定技能の入口にも位置付けられた。建設分野の特定技能評価試験や就労監理を実施するJACは、育成就労人材の中長期的なキャリア形成を支援する役割も担う。  岡本氏は「非常に大きな転換点を迎えている」と発言。外国人材のキャリアパスを示す「キャリア育成プラン」の策定支援や、受け入れ企業へのインセンティブの付与などをJACの取り組むべ課題に挙げた。  さらなる人材受け入れを見据え、「地域社会と共生していくことが不可欠だ」とも強調した。引き続き日本語講座を実施するとともに、生活習慣を学ぶ機会や、母国語での医療受診サポートなどの提供を検討。  地域の清掃活動や行事の運営に外国人材が協力するような事例も収集し、JACとして支援策を考える。「建設業がこれまでも地域貢献のために取り組んできたことを継続するのが、(共生への)一番の近道なのではないか」と述べた。  他国との人材獲得競争が激化する中、優秀な外国人材の確保が課題となる。インドネシアをはじめ、有望な送り出し国と連携し、育成環境や賃金水準に加え、安全性の発信にも注力する。「日本の建設業の魅力を伝えていくことが何より肝心だ」とも考えている。 【略歴】岡本 裕豪(おかもと ゆうごう)早稲田大学政治経済学部卒、91年建設省採用。復興庁審議官、国交省政策立案総括審議官などを経て10月から現職。神奈川県出身、59歳。