名古屋市 新市民会館 ゼネコン対象にサウンディング実施

中部

機能配置のイメージとまちづくりの関係(検討懇談会資料より)

 名古屋市観光文化交流局は1月7日、市民会館の改築(新たな劇場の整備・運営)に向けた検討懇談会を開き、今年8月ごろにPFI事業(BTO方式)の実施方針・要求水準書案を公表する見通しを示した。国立劇場や中野サンプラザなど、建設費高騰を理由に入札不調や事業中止が発生した事例がある中、舞台機構や奈落といった建設コストに直結する設備の仕様を考慮していく考えも明らかにしている。今後、大手ゼネコンを対象にサウンディング調査を実施、調査で得た意見を要求水準書案に反映させていく方針だ。  懇談会では、今回事業の古沢公園・市民会館エリアの要求水準書案に盛り込む新たな劇場に求める性能などについて有識者やホール利用団体関係者らに意見を聞いた。ホールの配置をはじめ、防音・振動、舞台機構、搬出入、サイトライン、多目的に使える個室席などの意見が提示された。  2つのホール(第1ホール=聴くホール、第2ホール=観る・魅せるホール)の配置では、開場前の待機列を想定した提案があると良いという意見。また、基本計画で示した「開かれた劇場」に対し、設計者はオープン過ぎる配置になりがちだとし、合理的な設計にプラスする価値にしてほしいといった意見が出された。  防音・振動では、遮音性を高めるボックスインボックスについて、必要な箇所全てに設けないと共有スペースが使えないことになると意見があった。  舞台機構は、建築費高騰に加え、人件費や点検・修繕費といったランニングコストを考慮した提案を求める意見があった。  搬出入に関しては、基本計画で大型エレベーターを設置して上層階に搬出入するとしていることに関し、荷さばきスペースを十分に確保し、ボトルネックにならないようにすべきといった意見が出された。また、24時間使用できる環境も収益化には必要だとする声もあった。  サイトラインは、近年開業した施設を中心にクレームが強いとの指摘が出た。楽屋の配置とサイトラインに関連があるためだという(楽屋とホールは同一フロアの方が便利なため)。  近年開業したホールでは、親子席といった個室があるが、個室内はバリアフリー化して誰もが使えるようにするのも重要だとする意見もあった。  その他、第1ホールはプロ向け(箱さえあれば照明・設備などは興行側で対応可能なため)、第2ホールはアマ・フレンドリー向け(設備・備品を備え、サポートを十分行う)とするなど、設備が過度にならないようにしていく案、回り盆はどうするか検討してはどうかなどの意見が示された。  懇談会で市は、舞台形式、舞台、舞台機構等、楽屋などで具体的な性能案を示している。地下鉄騒音などの現課題を解消した上で、第1ホール(2200席程度)は生音の鑑賞に対応する音響空間、第2ホール(1500席程度)は第1ホールに準じた音響空間とする案としている。側舞台は各ホール約1・5面以上。舞台機構は第1ホールに大迫り1基、第2ホールに大迫り1基、回り盆1基、両ホールに主舞台と同規模の奈落を設けるとした。一方、その仕様については、建設費高騰を考慮した仕様とする考えを示している。楽屋は中規模楽屋を含め、各ホールそれぞれ17区画程度設ける。  今後の想定スケジュールは、8月に実施方針・要求水準書案を公表。官民対話を経て、26年度内に事業者選定手続きを開始する。現市民会館は28年3月末に閉館予定で、その後、解体・設計・建設に約7年間を見込む。新たな劇場の開館は35年度。