住む人の尊厳守る空間づくり 天野彰さん
2018/1/9 東京
30年以上前から省エネルギーや高齢化社会に対応した住まいづくりに取り組み、住宅や医療福祉の分野で実績を積んできた。「住まいをベニヤ板やコンクリートでできた箱だと捉えてはいけない。自然の中で人は生かされているのだから」。社会哲学者で都市計画家のルイスマンフォードと会い、自然に溶け込む住まいづくりに揺るぎない確信を得た。住まいをより自然に戻すことで、マインドの変化から少子化改善にも貢献できると考える。国産のスギやヒノキを燃えない建材として活用する、産学協同の研究にも力を注ぐ。
切迫する超高齢化時代。「住む人の尊厳」こそが重要と説く。老いと向き合いプライバシーをどう守るか。他人の手を煩わせることなく、天井走行クレーンなどの空間ロボットがトイレや浴槽まで連れて行ってくれる、ホームナーシングユニットを世に送り出そうとしている。
「元気なうちに一緒にやりたい」。その思いがかない、大手設計事務所での勤務を経て、息子の彰人氏が所長として加わった。「絶えることのない人の営みを感じながら、歩みを継承してほしい」。二人三脚に目を細めた。（内田健一）
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