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「測量の日」に寄せて

2019/6/3 

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第31回「測量の日」に寄せて

 「測量の日」は、測量法が昭和24年(1949年)6月3日に公布されてから平成元年(1989年)で40年を迎えたことを機に、測量と地図の役割と重要性について多くの皆様に理解を深めていただくことを目的として当時の建設省(現在の国土交通省)により制定されました。
 どこに何があるか国土を正確に測って明らかにすることは、国が存立する上で欠くことの出来ない国の責務です。わが国の近代測量は、明治2年6月の民部官庶務司戸籍地図掛設置に始まりますが、150年を経た今でもその重要性は変わっていないばかりか、むしろ大きくなっていると言えます。
 今日、測位分野では準天頂衛星「みちびき」が4機体制となり、その「みちびき」を利用したセンチメータ級測位サービスが開始されました。このサービスには、電子基準点のデータから作成する補正情報が不可欠であり、「みちびき」と電子基準点網により簡便かつ高精度な衛星測位サービスが実現されます。
 また、自動運転の実現やi-Constructionの推進においては、高品質な3次元地図やリアルタイムな高精度測位のための環境整備が不可欠であり、測量や地図の政策の果たす役割はますます重要になってきています。
 平成の時代は自然災害が多発し、それぞれの地域で多くの教訓がもたらされました。このような過去の自然災害の教訓を伝承し災害への「備え」を充実させるために、新たな地図記号「自然災害伝承碑」を設けるなど防災地理情報の整備を強化するとともに、地域の防災教育や学校教育の支援にこれまで以上に取り組んで行きます。
 全国各地で開催される「測量の日」関連行事は、わが国の近代国家の発展を支えてきた150年にわたる測量の歴史や、未来における測量と地図の重要性や可能性を広く国民の皆さまにお知らせする絶好の機会です。国土地理院でも、一層の情報発信に努めて参りたいと考えております。皆さまには、格別のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。