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課題と可能性 太陽光発電 −深刻な施工技能者不足に対応 太陽光発電工事専門校−

建通ネットワーク 2011/9/16掲載
 
リーダーの育成が目標
【重要性増す建設業の参画】
 「太陽光発電は施工の人手不足がボトルネックになって成長できない可能性がある。関係者は施工技能の重要性を認識すべき。建設会社にも、今後の新たな事業としてもっと目を向けてほしい」。省エネにかかわる工事を施工する201業者で組織するエコシフト技術工事協同組合(東京都港区)の関口渉代表理事は、太陽光発電システムの施工技能者不足に危機感を募らせる。
 
【急増する需要】
 太陽光発電システムを、エコキュートなどまで含めトータルに施工できる技能者は現在、日本には約1000人しかいないという。一方、施工の需要は急速に拡大している。
 
 2010年度に太陽光発電を設置した住宅は19万5000棟だった。11年度は約50%増の30万棟になる見込みだという。需要増の背景には、東日本大震災をきっかけとする家庭用自家発電へのニーズや、海外メーカー品の輸入によるコストダウンがある。
 
 1000人の技能者が1年間で施工できる住宅は最高で25万棟だ。一人が年間250日働き、毎日1棟手掛けるとそうなる。その計算からすると、11年度の時点で5万棟分の技能者不足が生じる。すでに施工会社では、10月末まで仕事が一杯で、新たな注文を受けられない状態になっているという。
 
 再生可能エネルギー促進法の施行によって12年度の需要がさらに50%増の45万棟に拡大した場合、技能者不足は800人に拡大する。政府は地球温暖化対策のロードマップに関して10年度、20年度までに1000万世帯に太陽光発電を導入する案を示した。仮にこれを実現するだけでも、現在の4倍の技能者が必要になる。
 
【4工種のスキル】
 エコシフト技術工事協同組合は、一定レベルの技能を身に付けた「太陽光発電施工士」を養成するため09年9月、太陽光発電工事専門校(末武幹雄校長)を開校した。その背景には、技能者のレベル差の問題があった。太陽光発電にかかわる組合員を調査して分かったことだ。短期間に技能者を育成するため、従来の徒弟的な制度ではなく、きちんとカリキュラムを整え、試験を行う教育機関の構築が必要だと考えた。
 
模擬家屋を使った実習
 住宅での太陽工発電の施工では、建築、電気、給排水、基礎の4工種にまたがる技能が必要になる。しかし、1〜2日で終わらせる仕事に4人の技能者を集めるのは非効率だ。そこで、一人に4工種のノウハウを身に付けさせることにした。
 
 教育方法では試行錯誤を重ねている面もある。当初は入校者の経験や持っている資格などにかかわらず、一律に3カ月間を教育期間としていた。しかし7月から方法を変えた。座学の講義はDVDで行い、実技と試験のみを埼玉と大阪に設けた学校で行うかたちにした。関係する資格やノウハウをすでに持っている人は、学校での授業は1カ月程度で終わる。一方、まったくの未経験者は卒業まで1年かかる場合もある。
 
 これまでに190人が卒業した。事業の将来性に危機感を抱くアンテナ工事業や燃料業をはじめ、運送業、産業廃棄物業などさまざまな会社から社員が入校してきた。個人の入校もあった。そういった中で、意外なことに、反応が鈍かったのが建設業や電気工事業だった。
 

 関口氏は「建設業は太陽光発電に最も近い場所にある。スマートグリッドの入口である太陽光発電が分からなければ、これからの住宅建設やリフォーム、公共建築などで建設業が成り立たなくなる」と、太陽光発電への建設業の関与の重要性を指摘する。