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若手記者が聴く〜社長、あなたはなぜ建設業を?C海昌(高知市) 岡村亘祐代表取締役

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 「人との縁」。独自開発した無足場ロックボルト工法を手掛ける海昌。その2代目社長である岡村亘祐さんは、建設業で働く理由を一言で表した。
 同社との縁がつながったのは25歳の時。当時勤務していた広告代理店の営業として、海昌を訪問した。先代社長である野並昌稔氏と交流を持つうち、その人柄や、成長を続ける会社の雰囲気に魅力を感じて転職。入社後は積算、窓口対応などの総務全般を中心に担当し、繁忙期には営業や現場担当も兼務した。さまざまな業務に関わって16年。「会社の業務を隅々まで把握している」という理由で社長を任された。
 新社長として掲げた会社像は「社長がいらない会社」。その狙いは「トップからの指示に依存せず、社員一人一人が課題解決に向けて自発的に行動できる組織」だ。「これから会社がより大きく成長するためには、トップダウン型から脱却し、現場からの意見を積極的に吸い上げるボトムアップ型への転換が必要だ」と語り、従来の役割を見直した組織の再編成を進めている。
 ただ、「今までの組織運営とは真逆の方針に、急に順応することは難しい」と社内の意識改革が簡単に進まないことも理解している。性急な改革ではなく、「時間をかけて中間層人材の育成に取り組む」構え。併せて「社員が挑戦しやすい雰囲気や、失敗してもセカンドチャンスがある仕組みをつくりあげる事が大切だ」と指摘した。
 直近では、年間の労働日数を、従来の278日から252日に削減。4週8休を実現しながら、給与待遇は据え置きとするように就労環境を改善した。休日の確保とともに、社長としてうれしいのは「より効率的な業務が求められる中で、工夫して作業に取り組む意識が芽生えつつある」ことだ。
 同社は、「より簡単に」「より経済的に」「より環境に優しく」と技術改良を積み重ね、経営の主軸となっている「SD(スタンドドライブ)工法」を開発した。工夫を凝らすことは会社のアイデンティティーともいえるが、今は特に「現場の負担を減らすことで、労働寿命を延ばし、入職のハードルを下げる」と、未来の入職者との『縁』をつなぐことを意識している。
(四国支社高知支局=中村浩人)