建設業の戦略営業 −活動強化編− 第13回 アドバンテージを取る営業を目指せ(2)
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(1)キーマンを攻略する
自社が他社との競合においてアドバンテージ(優位に立つ)を取るための条件には、どのようなものがあるだろうか。
法人企業攻略の場合は、工事発注の鍵を握るキーマンを早く見つけ、アプローチすることが競合企業に先んじることになる。
この場合、最初の第一段階はキーマンが誰であるかを発見することである。これは、一人の窓口担当者だけに会っているとなかなか気がつかないものであるが、幾度か会っていれば面談している人がキーマンであるかそうでないかの区別ぐらいはつくところがある。
商談の中で「この見積金額では上司の了解が取れない」とか「いつ頃,発注がOKとなるかは言えない」など、自分ひとりでは決められないか、決める過程が曖昧な返事をする人はキーマンと言えない。
キーマンでない窓口担当者と商談を行う際には、「この工事物件の最終決済は、御社ではどなたになりますか?」とやんわりたずねてみる。このような質問をして口を割らない(キーマンを教えてくれない)担当者もいるが、「すべての最終決済はうちの専務ですよ」などと気軽に教えてくれる人もいる。
あとは次にどのようにキーマンと接触するかの算段あるが、これがしごく難しい。
人脈などを利用してキーマンとおぼしき担当役員などにアプローチを行う方法もあるが、あまり強引に行うと窓口担当者に反感を買い、かえって逆効果となることもある。
まずは、窓口担当者と親密な関係を築き、うまく機会を捉えて上位者や発注責任者に面談する機会を得ることである。
例えば、「一度専務様に名刺交換だけで結構ですから、ご挨拶させていただけませんか」などとキーマン面談を思い切って窓口担当者に依頼したり、商談のタイミングを見計らいながら、営業担当者の上司である部長や役員などに同行を依頼し、顧客企業からも上位者を引っ張り出すなどの作戦がある。
また、法人企業の場合は、ひとつの発注を行うにあたって複数の窓口が関与する場合が多い(つまりはキーマンが複数名存在することになる)。そのため、対象顧客の社内事情や組織の意思決定システムを早くつかみ、関連する窓口に顔を出し、自社のPRに努めておくべきである。
(2)その他のアドバンテージを取る営業
キーマン以外にアドバンテージを取る方法はいくつかあるが、ここでは代表的なものをあげておく。
@人脈を使ったバックアップ
取引銀行や系列企業などからの推薦、社内人脈を使ったアプローチなどにより、工事受注に際しての強力な人脈からのバックアップをもらい受注促進を図る。
この場合、推薦状を書いてもらったり、顧客企業に連絡を入れてもらう、もしくは一緒に顧客企業に同行してもらうなどのアクションを取る。
A顧客の事業化へのサービス支援
顧客の事業化を支援するための様々なサービスにより顧客とのパイプを強くする。事業化のサービス支援業務として次のものがある。
a.土地関連サービス
事業用地の探索・斡旋・仲介協力、遊休土地や工場等の移転跡地についての有効活用提案等
b.テナント対策サービス
テナント入居事業者の紹介・斡旋、賃貸住宅などに見られる入居者の家賃保証、入居者の家賃集金や入退室などのトータル管理等
c.事業化計画立案サポート
事業収支計画の立案、節税対策、資金対策等
Bその他サポート
許認可申請手続きの代行、人材募集・派遣の協力、施設オープン後の販促支援または販売協力等
C技術提案
建設工事に際しての技術的な課題に対応することは価格以外の要素で優位に立つことにもなり、営業および関連部門(設計・積算・工事・購買等)との密接な連携が重要となる。
■問い合わせ先
〒161-0033
東京都新宿区下落合三丁目16番14号 第2ニッコンビル
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
TEL03-3950-1178 FAX03-3952-043 http://www.niccon.co.jp/kensetsu/
ご質問にはお答えできない場合もございますのでご了承ください。
執筆者プロフィール
日本コンサルタントグループ建設産業システム研究所 酒井誠一