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身近な社会学 第15回 『ストローク』を出す・もらう

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相手に対しての何らかのアクションを『ストローク』という。
アクションといっても
映画のワンシーンに出てくる「爆破した建物からの大脱出」といったスタントでも
はたまたブルース・リーやジャッキー・チェンのような派手なパフォーマンスでもない。
話す、聴く、触る、撫でる、抱きしめる、見つめる、頷く…
自分に対して相手が何かしていると思えば
それらすべてがストロークだ。

ストロークには肯定的なものと否定的なものがある。
相手がうれしい、快適と感じたら、それは肯定的ストロークで
相手が嫌だ、不快と感じたら、それは否定的ストロークだと言える。

私たちは、どうも肯定的ストロークを出すこと、もらうことが苦手だ。

感謝しているのに素直に「ありがとう」と言えない。
嬉しいのに照れてしまい、本当は思っているのに、素直な気持ちを伝えられない。
自分に近い相手ほど、当たり前という習慣に変わり
肯定的ストロークを出していない傾向が強い。

また、せっかく褒められたのに
「いえいえ、そんなことありません」「いや〜お世辞が上手ですね」なんて
相手の言葉を謙遜という言葉に置き換えて、否定していることも多い。
謙遜はしすぎるとかえって聞き苦しいので要注意だ。
アメリカ人が電話の最後に良く言う言葉に『Love You』がある。
老若男女関係なくつかう。
直訳すれば「愛しているよ、大好きだよ」だが
これをもし、日本のお父さんたちが電話の最後に言ったとすると
『お父さんどうかしちゃったのかしら』
『何か後ろめたいことがあるのかしら』
と勘ぐられるのがオチだ。
慣れないことは、しない方がよいかも。

私は最近、肯定的ストロークをもらうのがうまくなった。
「お若いですね」と言われようものなら
以前であれば「そんなことありません」と嬉しいのに照れていたが
現在は、たとえお世辞だろうと何だろうと構わない。
待っていましたとばかりに
「ありがとうございます」
にっこり笑って、お褒めの言葉を素直に受け取る。
相手が「へっ」とあっけにとられても気にしない気にしない。
ね、上手になったでしょ。

「『ずうずうしくなった』の間違いじゃないの?」
きっと、空耳。

執筆者プロフィール

太田稔子(おおたとしこ) キャリアカウンセラー 交流分析士 各種講師 メールアドレス kerorine1205tm@yahoo.co.jp