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もらわないと損! 建設業でも使える助成金 第1回 雇用を維持するための助成金

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景気の悪化や大規模な災害の発生等が原因で売り上げや生産量が減少し、従業員の雇用を維持することが困難な事業主が、従業員の雇用維持を目的に休業等をさせた場合に利用できるのが、雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)です。

=雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)=

下記に該当する場合は中小企業に該当し、中小企業緊急雇用安定助成金の対象となります。

小売業(飲食店を含む)⇒資本金5,000万円以下又は従業員数50人以下
サービス業⇒資本金5,000万円以下又は従業員数100人以下
卸売業⇒資本金1億円以下又は従業員数100人以下
その他の業種⇒資本金3億円以下又は従業員数300人以下

■支給要件
次の具体的な経営指標の基準のいずれかに該当すれば、支給申請が可能です。
(1)事業活動を示す指標(売上高また生産量など)の最近3ヶ月間の月平均値が、その直前3ヶ月または前年同期に比べ5%以上減少している場合。
ただし「中小企業緊急雇用安定助成金」については、直近の決算等の経常損益が赤字であれば5%未満の減少でも申請が可能です。中小企業は、前期決算が経常赤字であれば要件を満たすことになります。
(2)円高の影響により生産量、売上高などの回復が遅れている場合。生産量等の最近3ヶ月間の月平均値が3年前の同期と比較し、15%以上減少していることに加え、直近の決算等の経常損益が赤字であれば支給申請が可能です。

■支給対象
一時的に休業した場合の休業手当、休業中に訓練を行った場合の教育訓練費用。出向させた場合の手当や賃金の一部。

■支給額
▽雇用調整助成金(大企業)
・休業=休業手当相当額の3分の2(※1※2)、支給限度日数は3年間で300日(休業及び教育訓練)
・教育訓練=賃金相当額の3分の2(※2)、この金額に1人1日2,000円を加算(事業外訓練は1日4,000円を加算)
・出向=出向元で負担した賃金の3分の2(※2)
▽中小企業緊急雇用安定助成金(中小企業)
・休業=休業手当相当額の5分の4(※1※2)、支給限度日数は3年間で300日(休業及び教育訓練)
・教育訓練=賃金相当額の5分の4(※2)、この金額に1人1日3,000円を加算(事業外訓練は1日6,000円を加算)
・出向=出向元で負担した賃金の5分の4(※2)

※1 従業員の解雇等を行わない事業主に対しては下記の通り助成率を上乗せしています。
・大企業 3分の2 → 4分の3
・中小企業 5分の4 → 10分の9
※2 上限は一人当たり1日7,890円

■手続き
支給の対象となる休業、教育訓練及び出向の実施について、事前にハローワークに届け出る必要があります。(事前の届出の行われなかった休業、教育訓練及び出向については、支給対象となりませんのでご注意ください)


なお、東日本大震災の被害に伴う「経済上の理由」で事業を縮小した場合にも利用できます
(具体的な活用事例)
▽交通手段の途絶により、従業員が出勤できない、原材料の入手や製品の搬出ができない、来客が無い等のため事業活動が縮小した場合。
▽事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復が不可能であり生産量が減少した場合。
▽避難指示など法令上の制限が解除された後においても、風評被害により観光客が減少したり、農産物の売り上げが減少した場合。
▽計画停電の実施を受けて、事業活動が縮小した場合。
※既に雇用調整助成金を利用している事業主が、東北地方太平洋沖地震被害の影響を受け休業を行う場合にも、助成対象になります
(あくまでも経済上の理由により事業活動が縮小した場合に利用できる制度なので、震災による事業所の損壊が事業活動縮小の直接的な理由である場合は利用できません。)

執筆者プロフィール

須山由紀子(飯島総合会計事務所・社会保険労務士)   http://www.is-tax.co.jp/