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社員のやる気を2.2倍にアップする3つの法則 第9回 モチベーションアップについての雑感

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9回にわたるこの連載も今回で終了です。お読みいただいた皆様、ありがとうございました。最終回ですので、是非これだけはお伝えしたいと私が感じることを記してみたいと思います。

「社員のやる気を2.2倍にアップする3つの法則」として、「将来期待の法則」「自己充実の法則」「人間関係の法則」について皆様に紹介してきました。確かに社員をやる気にするためには、定石(法則)を知って実行することが手っ取り早い近道になります。

しかし、中長期的には、経営者や管理者の「人間観」がどのようなものであるかにかかっています。

簡単に表現すると、「部下を自分の思惑(私欲)のために利用(搾取)すべきものである」「自分より劣った存在である」と考えるのか、「部下はそれぞれに素晴らしい面を持っている」「立場は違っても部下と自分はパートナーである」「部下には至らない点があるが、発展途上の存在である」と考えるのかということです。

前者は、部下を「道具・手段」とする古来より支配的な考え方です。現在では大っぴらに語られることは少ないのですが、多くの経営者や管理者の心の奥にはまだまだ根付いている本音かもしれません。

後者は、部下を「感謝して尊重すべき存在」であるとみなす考え方です。現在では、一部の経営者や管理者の心に定着つつあります。
どのような部下であっても「感謝して尊重すべき存在」と考えることがスタートで、そのことによって、部下の話をさえぎらないでよく聴こう(傾聴)という姿勢につながるのです。さらに、「聴き上手」になり、「ほめ上手」「認め上手」になり、やがて、部下とのコミュニケーションが改善されます。

このような基盤があってはじめて、社員をやる気にさせる法則(ツール)が効果を現わすのです。部下を「感謝して尊重すべき存在」とする人間観を持たずに、安直に法則(ツール)を使うと、部下は上司の自己中心的な動機に敏感に気づくものです。

部下を「感謝して尊重すべき存在」とする人間観を持てば、仮にモチベーションアップのための法則(ツール)を知らなくても、自然に社員のやる気を2.2倍にアップする3つの法則に即した行動がとれるようになっていきます。

最後は禅問答のようになってしまいましたが、テクニックを知ることには即効性がありますが、それよりさらに重要なのは、部下についての人間観を変えることであると強調させていただきます。

執筆者プロフィール

坂口慎一 株式会社エンデバーコンサルティング(特定社会保険労務士、中小企業診断士)   http://www.endeavour-consulting.com/