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建設業法の基礎知識 〜行政書士業務より〜 第3回 工事経歴書って(その1)?

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――建設業決算変更届の工事経歴書の作成方法について教えてください。
 「工事経歴書は、一見決算期中に完成した工事をそのまま記載すればいいように思えますが、業種の分類や配置技術者氏名欄の記載等に注意が必要です。また、過去の実績を記載する書類であるため、工事経歴書作成時に自らの建設業法違反状態に気づいてしまったとしてもどうすることもできない。建設業者であれば普段から意識して会社を経営しなくてはならない部分を記載する書類です」
 「工事経歴書を記入する際は、最初にまず主な工事経歴を特に業種を分類することなく列挙し、その記載内容を全て把握しておくことをお勧めします。具体的には注文者、元請下請の別、JVか否か、工事名、工事現場市区町村、配置技術者氏名、請負代金額、着工年月及び完成年月を把握します」

――当社は10業種の許可を有していますが、それでは特に業種に分類することなく最初にそれらの情報を把握します。だいたい何件くらいの実績をこの時点で把握しておくとよいでしょうか。

 「この時点では、完成工事高の6割程度、または1件の工事請負代金が500万円を上回るもの全て、いずれか少ない方の件数でよろしいかと思います。次に業種の割り振りを行ってください。よく間違いやすい業種をいくつか挙げます。まず、土木一式工事は総合的な企画、指導、調整を伴う土木工事でなくてはなりません。一部の工種の請負はその業種の専門工事となります(例・舗装工事)」
 「次に土木系の工事だが総合的ではなく、また個別の専門工事に分類することもできない工事はとび・土工・コンクリート工事となります。土木系でこの他誤りが多いのは下水道の本管工事です。上水道の本管と配水施設は水道施設工事、上下水道の戸別給排水部分は管工事、下水道の処理施設は水道施設工事ですが、下水道の本管部分は土木一式工事となります」
 「建築系では、建築一式工事に該当するかどうかの分類を誤るケースが多いようです。建築一式工事は総合的な企画、指導、調整が必要で、通常は元請で施工される工事をさします。増改築工事の場合は、基本的には建築確認を伴う工事のみを建築一式工事に分類すると考えてよいでしょう。それ以下の小規模な補修工事は大工工事またはその他の専門工事に分類します」

石田行政法務事務所 行政書士 所長 石田知行
http://www.ishida-tomoyuki.com

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