もらわないと損! 建設業でも使える助成金 第7回 パートタイマーの待遇改善に関する助成金
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パートタイマーや有期雇用などの非正規労働者の割合は、年々増えつつあり、8月の厚生労働省の発表では、過去最高の38.7%(約2.5人に1人)を記録したようです。しかし、非正規労働者の待遇が低く抑えられていることや、雇用が不安定である点などが問題となっています。そのような非正規労働者の待遇改善を奨励するために均衡待遇・正社員化推進奨励金が4月に創設されました。
【均衡待遇・正社員化推進奨励金】
均衡待遇・正社員化推進奨励金とはパートタイム労働者や有期契約労働者の雇用管理の改善を図るため、正社員への転換制度や正社員と共通の処遇制度などを設け 、実際に制度を適用した事業主に対して支給されます。この助成金は、5つの制度から成っています。
【正社員転換制度の導入】
正社員へ転換するため試験制度を導入し、実際に1人以上転換させた事業主に対して支給されます。
■支給要件
@雇用保険の適用事業主であること。
A当該事業主が雇用する短時間労働者又は有期契約労働者を対象として、転換制度を労働協約又は就業規則に新たに定め、2年以内に1人以上正社員へ転換させたこと。
B対象労働者の転換日および支給申請日において、対象労働者のほかにも正社員を雇用していること。
■対象労働者の要件
イ 正社員への転換前にあっては、6ヶ月以上の期間短時間労働者又は有期契約労働者とし
て雇用されていること。
ロ 正社員への転換日の前日から起算して過去3年間に、支給対象事業主が正社員または短時間正社員として雇用した者でないこと。
ハ 正社員として雇用することを前提として雇用された労働者ではないこと。
■支給額
1人目 中小企業40万円 大企業30万円
2人目〜10人目 中小企業20万円 大企業15万円
■手続き
転換した対象労働者に正社員としての賃金を6ヶ月分支給した日の翌日から起算して3ヶ月以内に申請書を提出(申請先…都道府県労働局雇用均等室)
【共通処遇制度の導入】
正社員と共通の処遇制度を導入し、実際に対象労働者に適用した事業主に支給されます。
■支給要件
@雇用保険の適用事業主であること。
A当該事業主が雇用する短時間労働者又は有期契約労働者を対象として、共通処遇制度を労働協約又は就業規則に新たに定め、2年以内に1人以上共通の処遇制度を適用させたこと。
B正社員に適用する処遇制度を共通処遇制度と同時又はそれ以前に導入していること。
C共通処遇制度の適用日及び支給申請日において正社員を雇用していること。
■対象労働者の要件
イ 雇用保険の被保険者であること。
ロ 共通処遇制度の適用後、適用前より格付けや賃金等の待遇が低下していないこと。
ハ 通常の労働者と共通の格付け区分に格付けされていること。
■支給額
中小企業60万円 大企業50万円
■手続き
共通処遇制度を適用後、賃金を6ヶ月分支給した日の翌日から起算して3ヶ月以内に申請書を提出(申請先…都道府県労働局雇用均等室)
【共通教育訓練制度の導入】
正社員と共通の教育訓練制度(Off -JTに限る)を導入し、1人につき6時間以上教育訓練を延べ10人以上(大企業は30人以上)に実施した事業主に支給されます。
■支給要件
@雇用保険の適用事業主であること。
A当該事業主が雇用する短時間労働者又は有期契約労働者を対象として、共通教育訓練制度を労働協約又は就業規則に新たに定め、2年以内に、中小企業は延べ10人以上、大企業は延べ30人以上に実施し、修了させたこと
B正社員に係る教育訓練制度を短時間労働者又は有期契約労働者に係る共通教育訓練制度と同時又はそれ以前に導入している事業主であること。
C共通教育訓練制度の適用日及び支給申請日において正社員を雇用していること。
D当該教育訓練を修了した労働者の2分の1以上が雇用保険の被保険者であること。
■支給額
中小企業40万円 大企業30万円
■手続き
共通教育訓練制度を中小企業は延べ10人以上、大企業は延べ30人以上に実施し、修了させた日から6ヶ月経過した日の翌日から起算して3ヶ月以内に申請書を提出(申請先・・・都道府県労働局雇用均等室)
【短時間正社員制度の導入】
短時間正社員制度を導入し、実際に1人以上に適用した事業主に支給されます。
■支給要件
@雇用保険の適用事業主であること。
A当該事業主が雇用する短時間労働者又は有期契約労働者を対象として、短時間正社員制度を労働協約又は就業規則に新たに定め、5年間のうちに1人以上に適用したこと。
B短時間正社員制度の適用日及び支給申請日において、支給対象労働者以外に正社員を雇用していること。
■対象労働者の要件
イ 本人の自発的な申し出により、連続する3ヶ月以上の期間制度を利用し、かつ、制度適用後6ヶ月分の賃金が支給された労働者であること。
ロ 対象者が雇用保険の適用基準を満たす場合は、被保険者であること。
ハ 対象者が社会保険の適用事業所に雇用されている場合は、被保険者であること。
ホ 短時間労働者又は有期契約労働者が当該制度を利用した場合は、適用日の前日から起算して過去3年間に当該企業において正社員又は短時間正社員であったことがないこと。
ニ 正社員が制度を利用する場合、育児・介護以外の事由で利用するものであること。
■支給額
1人目 中小企業40万円 大企業30万円
2人目〜10人目 中小企業20万円 大企業15万円
■手続き
短時間正社員制度の利用開始日から賃金を6ヶ月分支給した日の翌日から起算して3ヶ月以内に申請書を提出(申請先・・・都道府県労働局雇用均等室)
【健康診断制度の導入】
パートタイム従業員や有期契約の従業員に健康診断を受けさせる制度を導入し、実際に延べ4人以上健康診断を実施した事業主に支給されます。
■支給要件
@雇用保険の適用事業主であること。
A当該事業主が雇用する短時間労働者又は有期契約労働者を対象として、健康診断制度を労働協約又は就業規則に新たに定め、2年以内に延べ4人以上に実施したこと。
B健康診断等の経費について、雇入時健康診断と定期健康診断は全額、人間ドックと生活習慣病予防検診は半額以上を負担したこと。
■対象となる健康診断制度
イ 雇入時健康診断
ロ 定期健康診断
ハ 人間ドック
ニ 生活習慣病予防検診
■支給額
中小企業40万円 大企業30万円
■手続き
健康診断を延べ4人以上に実施した日の翌日から起算して6ヶ月を経過した日から3ヶ月以内に申請書を提出(申請先・・・都道府県労働局雇用均等室)
執筆者プロフィール
須山由紀子
飯島総合会計事務所・社会保険労務士
http://www.is-tax.co.jp/